小中学校の1人1台パソコン整備に向けた政府の予算措置や、Windows 7のサポート終了でパソコンを取り巻く環境が大きく変わろうとしている。富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、パソコン市場の変化に向けてどのような手を打っていくのか。齋藤邦彰社長に聞いた。 (聞き手:中野 淳=PCメディア編集部長)

——国は教育現場の1人1台パソコンを達成する方針を掲げ、そのための最初の取り組みとして、2300億円を超す2019年度の補正予算案をまとめました。この補正予算では、200万台以上のパソコンを整備して、まず小学校5年生から中学校1年生で1人1台パソコンの環境を整えようとしています。こうした動きをどう見ていますか。

 大歓迎です。当社のミッションはパソコンやタブレットによる「コンピューティング」を通じて、より多くの人の役に立つことです。その思いを加速する施策だと感じています。教育現場が1人1台になると、パソコンの便利さをより実感しやすくなります。子供の頃からICTに親しみ、ツールとして使いこなせるようになれば、将来の社会は今まで以上に豊かになるでしょう。

 当社はこれまで教育市場で大きなシェアを獲得してきました。その理由の一つは、パソコン事業に関わるエンジニアたちが教室に出向いて学校の困りごとを自らの目で確かめていることです。さらに、国内にある製品の設計・製造拠点で解決策を具現化して、さまざまなニーズに素早く対応できるのが強みです。

 例えば、パソコンには外部スピーカーなどを接続する端子があります。子供たちは、いたずらでこの小さな穴に鉛筆の芯を差し込みます。端子に鉛筆の芯が詰まると、芯に使われる黒煙は通電性があるため、芯がヒーターのように発熱してプラスチック製の端子が融けだすことがあります。法人向け製品ではこのようなトラブルは考えられませんが、教育市場向け製品では想像もつかないようなことが起こります。エンジニアは設計段階から、こうしたトラブルに対処するさまざまな工夫をしています。

——小中高等学校では、「Chromebook」のシェアが増えてきました。教育市場に向けて新たにChromebookを投入するメーカーもあります。

 今のところWindowsパソコンが主流ですが、Chromebookについても準備を怠らないようにしています。当社の使命はコンピューティングを社会に広げることです。Chromebookについても、コンピューティングのツールの一つとして、いざとなったらいつでも対応できるよう「Ready to Go」の心構えで市場動向を注視しています。

——学生が1人1台のパソコンを持つ大学も増えてきました。

 大学市場ではノートパソコン「LIFEBOOK UHシリーズ」が2in1モデルを含め好評です。パソコンは重くて持ち歩くのが大変という先入観を持つ人もいますが、UHシリーズはバッグに入れてもかさばらず、学生たちの想像を上回る軽さと薄さが受けているようです。こうした先進的なテクノロジーに敏感な大学市場にマッチした製品と言えます。

——2020年1月14日で、Windows 7のサポートが終了します。これによるパソコンの買い替え需要をどのように予測していますか。

 2019年は法人向け、個人向けのいずれもWindows 7からWindows 10への買い換え需要が活発でしたが、以前とはちょっと様子が変わっているようです。2014年4月にサポートが終了したWindows XPのときに比べ、買い替え需要の動きがなだらかになっているのです。サポート終了後もセキュリティパッチを有償で提供するプログラムがあることが関係しているのかもしれません。

 パソコン需要の拡大に向けて気になるのがCPU不足の問題です。2019年中に供給不足が解消するはずでしたが、現在も問題は収束していません。供給不足の解消はインテル次第ということもあり、今は状況を静観するしかありません。現在の状況がさらに長引くようであれば、他社製CPUの採用も選択肢になるでしょう。