GIGAスクール構想により1人1台端末体制が整備され、教育のデジタル化は進んだ。その先に向けて、学校や企業は何を目指していけばよいのか、インテルの鈴木国正社長に聞いた。

写真: 丸毛 透
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──GIGAスクール構想で教育のデジタル化が大きく進みました。

 GIGAスクール構想によって児童・生徒1人1台体制が整備され、日本のICT活用教育は進化しました。一方で、日本の教育は個々の学校や教員、教育関係者、文部科学省や自治体など、一つひとつの“点”の活動は素晴らしいのですが、その点同士が結びついて“線”になって“面”に広がり、日本の教育全体のデジタル化を後押ししているのかは疑問を感じます。

 公立校であれ、私立校であれ、「良い学校」の基準は偏差値や進学率などが指標になっています。それ以外の「良い学校」を測る指標が出てきてほしいのです。例えばICT環境の整備状況や、どのような教育を進めているかなど、デジタル活用の指標を公開して、学校同士、教員同士が健全に競争をしていくのは一つの方法でしょう。

──偏差値や進学率以外の指標が必要なのはなぜですか。

 学校教育を終えて社会に出て働くことを考えると、企業や官公庁などは活躍できる人材を獲得して育てていきたいのです。ところが、必要な人材を偏差値や出身大学だけでは判断できなくなりました。そのため個人の能力や可能性を測る別の指標が求められるのです。

 今、世界の企業経営は大きく変わりつつあります。投資家や資本市場などから「パーパス経営」を求められ、ミッション、ビジョン、バリューを語ることが重要になっています。

 教育現場でもどのような学校にしたいのか、どのような生徒を育てたいのか、デジタル化でどんな教育を提供するのか言葉で表現することが重要だと思います。社会全体がSDGsへの対応を求められる中、社会課題の解決に貢献できる人材を育てていくためのビジョンを語ることが、これからの学校経営にも求められます。

好奇心を醸成する教育を

──企業も変わる必要があるのではないでしょうか。

 その通りです。これからDcX(データセントリック・トランスフォーメーション)を進めていくには「セキュリティ」「脱炭素」「デジタル人材の不足」という3つの課題があります。かつてのように偏差値の高い大学出身者を採用すればよいと考える企業は減りつつあります。

 子供たちの「知りたい」と思う気持ちを醸成する教育ができれば、好奇心が豊かな面白い人材がどんどん出てくるはずです。私個人としては児童・生徒の好奇心を大切にした教育を進められたらすてきなことだと思っています。

 STEAM教育は子供の好奇心や探究心を育んでいく学びの一つだと思います。インテルでは学校にSTEAM教育ができる施設「STEAM Lab」の開設を支援しています。2022年は新しい取り組みとして、子供たちの好奇心などを醸成する教育を支援する「RISE for Education」を提供します。これは、クリエーターとプロジェクトチームを開発している学習プログラムで、課外活動の一つとして提供したいと考えています。