文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(中教審)の初等中等教育分科会が設置した「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」は2021年1月14日、第19回会議を開催した。文部科学省の2020年度第3次補正予算案と2021年度予算案について報告があったほか、関係部会から検討状況の報告があった。

 これまで各部会で議論してきた「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して 全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」を取りまとめた答申案が提示された。答申案では2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を挙げた。

答申案で提示した2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿
答申案で提示した2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿
出所:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申案) 【概要】 資料
[画像のクリックで拡大表示]

 「個別最適な学び」は、大きく「指導の個別化」と「学習の個性化」に分けた。指導の個別化では、「基礎的・基本的な知識・技能等を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成する」ため、 支援が必要な子供に重点的な指導をしたり、特性や学習進度に応じて指導方法・教材等の柔軟な提供・設定をしたりする。

 学習の個性化では、「基礎的・基本的な知識・技能等や情報活用能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、子供の興味・関心等に応じ、一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身の学習が最適となるよう調整する」としている。

 「協働的な学び」では、個別最適な学びが「孤立した学び」に陥らないよう探究的な学習や体験活動等を通じて、子供同士や多様な他者と協働する「協働的な学び」を充実させる。こうした指導の個別化と学習の個性化、協働的な学びを一体的に充実させ、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげるという。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申案) で提示した、ICTを活用した学びの在り方
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申案) で提示した、ICTを活用した学びの在り方
出所:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申案) 【概要】 資料
[画像のクリックで拡大表示]

 「令和の日本型学校教育」を構築し、個別最適な学びと協働的な学びを実現するには、ICTが学校教育の基盤的なツールとして必要不可欠と位置付ける。小中学校の義務教育では、GIGAスクール構想で整備されるICT環境を最大限に活用し、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を充実させる。

 高等学校でも1人1台端末を実現し、端末の家庭への持ち帰りを可能にする。これにより、家庭における同時双方向型オンライン学習を授業の一部として特例的に認め、対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化を検討する。さらに、1人1台端末については、数年後に迎える端末の更新について早急に検討を進めるよう促した。

 ICT活用や対面とオンライン教育のハイブリッド化による指導の充実に関して打ち出した取り組みは以下の通り。
(1)ICTの日常的な活用による授業改善
(2)学習履歴(スタディログ)など教育データを活用した個別最適な学びの充実
(3)全国的な学力調査のCBT化の検討
(4)教員の対面指導と遠隔授業などを融合した授業づくり
(5)高等学校における遠隔授業の活用
(6)デジタル教科書・教材の普及促進
(7)児童・生徒の特性に応じたきめ細かな対応
(8)ICT人材の確保

 特例的な措置や実証的な取り組みとして、(1)臨時休業時等に学校と児童・生徒などの関係を継続し学びを保障するための取り組み(2)学校で学びたくても学べない児童・生徒への遠隔・オンライン教育の活用(3)個々の才能を存分に伸ばせる高度な学びの機会など新たな学びへの対応を進めていく。

 デジタル教科書に関しては、1人1台端末環境が整備される中、学習者用デジタル教科書の本格導入が見込まれる2024年度の小学校用教科書改訂までの間も、紙の教科書との併用が可能な環境下で学習者用デジタル教科書やデジタル教材の使用が着実に進むよう普及促進を図る。

 ICTを活用した学びを充実するため、技術や活用に知見を持つGIGAスクールサポーター、ICT支援員といったICT人材の確保を促進する。また、事務職員についても、ICTを活用した教育活動に積極的に参画できるように研修の充実を図る。教育委員会でも外部人材の活用を含めてICTに関する専門性を有した人材の意思決定を伴う立場への配置を促進。ICT環境整備の計画策定や、ICTを活用した効果的な指導方法などについて助言・支援をするICT活用教育アドバイザーの登用を推進する。

 答申案は2021年1月26日に開催予定の中教審総会で議論される予定だ。