新しい学びを実現するために、教員の教育に対する考え方の転換も求められる

兵庫県 尼崎市立立花西小学校
教諭
山岡正明氏


 小学校では、新学習指導要領の全面実施となり9カ月が過ぎました。プログラミング教育の導入、外国語の教科化だけでなく、育成すべき資質・能力や評価が大きく変わり、新しい学びを実現するために教員の教育に対する考え方の転換も求められています。現場では、課題が山積みとなり消化していくことに追われているのが現状です。また、プログラミング教育は、いくつか先行的に取り組みを行っている先生方もおられますが、プログラミングをすることが目的となっているように感じます。

 これから先の見えない社会を生き抜いていく子供たちには、「主体的な創造性」が求められます。しかし、今の子供たちは、主体性が失われ、創造性も乏しくなっているように感じます。子供たちに主体性を持たせるためには、教員が主体性を持って活動し、教材・指導法・教員の意識など教育活動に関わる全てのものを変えていく必要があります。そのためには、個人個人が点で取り組むのではなく、学校の組織だけでなく、教材を販売する会社・地域・大学や教育委員会など教育に関係する全ての組織や機関を含む大きな一つのチームとして教育を進めていく必要があります。このチームで現状を共有し、コミュニケーションを取りながら協同して教材を創り上げ、教育を行っていくことで、知識を総動員して課題を解決していくSTEAMの考え方を習得した「主体的な創造性」を持つ子どもの育成につながるのではないでしょうか。

「学びのためのツール」としてパソコンやタブレットに触れ、最大限活用する時代へ

公益社団法人
日本PTA全国協議会 会長
清水敬介氏


 ICT教育はこれからの時代に必要不可欠であり、小・中学校で積極的に導入されるべきであると感じております。ICT機器をSNSやゲームだけに使い、かつ、子供たちから遠ざける時代から、「学びのためのツール」としてパソコンやタブレットに触れ、最大限活用する時代への転換期が来ました。

 今回のコロナ禍において、各地の小・中学校でICT環境の格差が浮き彫りになりました。現在は、全国どこにいても、どの学校へ通っていても同等の教育を受けられる状況にないと感じております。また、中学生だけでなく、小学生へのICT教育も積極的に導入し、ICT機器を学校で預かるのではなく、各ご家庭へ持ち帰って家庭学習に利用できる環境づくりも推し進めていただきたいと思います。

 そのためには、教職員を含め、我々大人が意識改革を行い、子供とともに学ばなければなりません。PTAには「異業種集団」という強みがあるため、STEAM教育に適した人財を学校教育に積極的に登用し、先進的な取り組みや好事例を広く地域や全国へ情報発信していただくことをご提案します。

 ICT教育の推進・環境整備が、国から各市区町村の教育委員会、そして、各地の学校へ1日でも早く行き渡るよう、必要な予算を確保した上で強力に推奨していただきますようお願い申し上げます。

デジタル教材・EdTechで、児童・生徒が直接に課題に向き合い思考を深められるように

青山社中株式会社
筆頭代表 CEO 朝比奈一郎氏


 私は、リーダーシップの正しい訳は指導者ではなく「始動者」という考えの下、「自ら志を抱いて構想を描き、行動を起こすリーダー人材」を日本に増やそうとしています。その観点から、デジタル教材・EdTechの活用には大きな可能性を感じています。

 というのも、座談会でも議論されていましたが、親・教員を含む多くの日本人が「言われたことを確実にやるのが大事」との価値観に過度に侵されている中、まだ染まっていない生徒たちが、上記の残念な価値観に邪魔されずに、自ら志をもって始動するべく、直接に題材に向き合い、思考を深められる可能性をデジタル教材・EdTechが広げてくれるからです。

 多くの学生の「心持ち」を変えるべく、デジタル教材・EdTech活用の前提として、理解力のある年齢以降の生徒(小学校高学年~中学1年生くらい)に、始動力=リーダーシップ教育を普及させると、更に効果が高まる気がします。

 また、デジタル教材・EdTechというと、座談会でも取り上げられていたSTEAM(アートを除いて、要すれば理系的学問)ばかりが強調される傾向がありますが、例えばさまざまな歴史上の人物について、それを動画(ドラマ)形式で学ぶとか、「羅生門」とか「こころ」など暗いテーマの小説に偏りがちな国語の教科書教育の幅を、ビブリオバトルの動画を見せるなどしてさまざまな小説に触れさせて広げるとか、文系学問への拡大可能性がもっと模索されると良いと感じています。