大学ICT推進協議会(AXIES)は2020年12月9日から11日までの3日間、研究発表やセミナーなどからなる年次大会をオンラインで開催した。12月11日には、国立情報学研究所(NII)が「2022年から始まる次世代学術研究プラットフォーム」と題したセミナーを開き、国内の大学や研究機関などの学術情報基盤としてNIIが構築・運用している情報通信ネットワーク「SINET」の今後について解説した。

 現行のSINETは、2016年4月から運用が始まった100Gbpsの「SINET5」。高速な全国ネットワークで932の大学や研究機関(2020年3月現在)を相互に接続している。また、米国のInternet2や欧州のGÉANTをはじめとする、多くの海外研究ネットワークとも相互接続している。SINET5 は2022年3月にサービスを終了し、同年4月から次世代学術情報ネットワーク「SINET6」の運用が始まる予定だ。

2022年に運用を開始する予定の次世代SINETの方向性
出所:AXIES2020年次大会でのNII講演資料

 次期ネットワークは、接続速度400Gbpsの光伝送技術や5G無線通信ネットワーク、大学などが構築するローカル5G網を利用したネットワーク基盤となる。

 SINETはこれまで大学などの高等教育機関や研究機関のための学術情報ネットワークとして運用してきたが、文部科学省は2019年6月の「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」で、希望する全ての小中学校・高等学校など初等中等教育機関に解放する方針を示している。小中学校での児童・生徒1人1台端末の導入と高速の校内ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」の支援についても考慮するとしている。

現在、東京・大阪間のみ400Gbpsで接続しているネットワークは、次期ネットワークでは全国を400Gbpsでつなぎ、5Gモバイル環境への拡張も進む
出所:AXIES2020年次大会でのNII講演資料

 モバイルSINETは現在、実証実験中。これを5G対応に拡張し、大学等が構築するローカル5G網と連携して超高速のモバイル通信を実現できるようSINET側に対応機能を実装していく。

 また、これまでモバイル機器などIoT(モノのインターネット)実験環境を構築するのは手間とコストがかかったが、SINETを通じてIoT実験環境を簡単に構築できるようパッケージ化して提供する。IoT実験申請と専用のモバイルSINET SIMを購入すれば、通信キャリアのネットワークを経由してSINETを通じて東京大学のデータプラットフォーム「mdx」などにアクセスできるようになる。

 IoT研究では、すでに25組織から農林水産分野や自然環境、医療・ライフサイエンス、社会活動支援、情報研究など幅広い分野で42件の研究テーマが採択され、最終的に30件が実施されている。