2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で、教育関連の展示会やカンファレンスなどのイベントは軒並み延期やオンライン開催を余儀なくされた。 開催されたセミナーの多くがオンライン会議システムを使ったオンライン受講になったことで、現地に赴かなくても参加できるなど新たな需要の掘り起こしにもつながった。2020年の教育関連イベントを振り返り、2021年を展望する。

展示会が相次いで中止・延期

 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)が2020年2月に開催を予定していた「2019年度 教育の情報化推進フォーラム」は、新型コロナウイルスの感染拡大で急きょ中止になった。

 2021年は3月5日と6日にオンラインで開催する予定だ。当初は対面での開催を模索していたが、2021年に入っても感染拡大が収まらないため、プログラムの変更なども含めて運営方法を見直す。

 対面開催の展示会やセミナーなどのイベントが中止や延期に追い込まれる中、「教育総合展(EDIX東京)2020」は会場での対面開催にこだわった。当初の2020年5月開催を9月に延期したが、来場者は1万363人と2019年(2万9729人)の3分の1程度にとどまった。万全の感染対策をとったとはいえ、来場者が大勢の集まる場所を避けたことが影響したようだ。

 対面開催した他の展示会なども、前年に比べて軒並み来場者を減らした。

2020年に開催された主な教育関連のイベント
図1 多くの展示会やイベントが中止や延期、オンライン開催などに変更された。*2021年1月中旬時点。感染状況によっては変更の可能性がある

オンライン講演が新たな流れに

 会場で開催する対面イベントが中止や延期を余儀なくされる一方、JAPET&CECは2020年7月4日、学校教育が抱える課題と現状認識、将来に向けた期待などを意見交換するオンラインイベント「Withコロナ×GIGAスクール構想における公教育の転機と課題」を実施した。教育行政や教育現場、地方議員、メディアのパネリストがオンライン会議システム「Zoom」で参加し、ディスカッションの様子を「YouTubeライブ」でインターネット中継して、新しいイベントの在り方を提示した。

 New Education Expo(NEE)は例年6月に東京と大阪で展示会とセミナーを開催しているが、2020年は10月と11月に「NEE 2020 Online」として、オンラインセミナーだけを実施した。参加者は10月(6000人)と11月(5000人)の合計1万1000人で「想定していたより少なかった」(NEE実行員会)という。ICT利用に不慣れな教育関係者が多かったことや、リアルタイムでのライブ配信(後日再配信)などのハードルが高かった可能性もある。

 ただ、参加者からは「公開を限定するのはもったいない」「教育をどのように変えていくべきか考えるきっかけになった」「移動がなく参加しやすくなった」など、内容や運営方法を評価する声が上がった。セミナー講師からは「参加者の反応が分からず難しい」という半面、「普段参加できない地域の人に多く参加してもらえた」とオンライン開催を評価する声もある。

 こうした状況を受けてNEE実行委員会では、2021年は対面開催を軸に一部はオンラインで実施するハイブリッド開催を検討している。

 大学ICT推進協議会(AXIES)は、2020年度の年次大会をオンライン開催に変更した。参加者数は例年の2、3割減だったが、参加者からは「出張しないでも講演が聞け、参加しやすかった」「コロナの収束状況にかかわらず、今後もリアルとオンラインのハイブリッド開催を希望」と好評だ。

オンライン会議システムを使ったセミナー開催が相次いだ
図2 JAPET & CECが2020年7月に実施したオンラインイベント。コロナ禍の中での教育の在り方について、教育行政、教育現場、地方議会の議員、教育メディア関係者が課題や工夫、期待などを意見交換した

展示会や講演の運営には課題も

 一方で、急きょ予定を変更したイベントが多かったため、運営する事務局側は会場開催とは異なる苦労が多かった。例えば、参加者がオンライン会議システムを使って講演にアクセスできないなど技術面の問題や、講師が資料をうまく共有できないなどのトラブルは頻繁に見られた。複数のセミナーを並行して実施するためのシステム管理など従来とは異なる運営も必要だ。

 ただ、AXIES実行委員会は「画面操 作など技術的な困難の指摘はあったが、オンライン講演や会議などを積み重ね、オンライン会議システム自体の改良で改善する」と楽観的だ。

 オンライン開催に移行しやすい講演とは異なり、展示会は対面開催の要望が依然として多い。会場のブースをふらっと訪れて、展示を見たり話を聞いたりするのがオンラインでは再現しにくいのが理由だが、「オンライン展示でも、出展者と来場者が活発に交流できる仕組みを検討したい」(AXIES実行委員会)という声も聞かれた。

 日本教育工学協会(JAET)が2020年11月に開催した全国大会では、公開授業や研究協議会の直接参加を近隣県の教育関係者に限定し、オンライン配信で全国から視聴できるようにした。現地参観(335人)、オンライン視聴(264人)で約600人が参加するなど関心を集めた。

 感染対策で新しい展示会や講演の在り方を模索する流れは2021年も続きそうだ。

オンライン開催を支える運営の舞台裏
図3 日本教育工学協会(JAET)の全国大会は直接観覧できる参加者を地域限定にした授業公開とオンライン視聴やセミナーを組み合わせたハイブリッド開催になった(左)。大学ICT 推進協議会(AXIES)の年次大会は多くの講演を並行して実施するため、実行委員会はトラブルが起きないよう監視体制を確立した(右)

初出:日経パソコン 教育とICT No.15