文化庁と授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)は、2021年4月から有償化が始まる授業目的公衆送信補償金制度の手続き受付システム「TSUCAO(つかお) 」の運用を開始する。1月29日に開催した制度運用などに関する説明会で明らかにした。

 補償金制度はコロナ禍による学校休業に対応するため、2020年4月に無償でスタートしたが、2021年度からは補償金の徴収を開始する。教育委員会や学校法人など学校設置者が一定の補償金を支払うことで、授業において著作物を無許諾で公衆送信できる。

 2020年12月18日に文化庁長官が、児童・生徒・学生1人当たり中学校が180 円、高等学校は420円、大学は720円(包括契約で利用する場合。いずれも年額、消費税別)などの補償金額を認可した。

 補償金は本来、教育委員会や学校法人などの学校設置者が予算措置をして支払うものだが、2020年4月20日に政府は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」で、「令和3(2021)年度からの本格実施に向けて補償金負担の軽減のための必要な支援について検討する」方針を閣議決定した。文部科学省は2021年度予算において、認可金額を基に公立学校は地方財政措置、国立大学や私立学校については運営費交付金や私学助成で必要経費を計上し、公的資金で財政支援する。

補償金の手続きの流れ。制度を利用する学校の設置者は、SARTRASが立ち上げる「TSUCAO」に登録し、対象人数などを申請して補償金を支払う
出所:「授業目的公衆送信補償金制度」説明会資料

 補償金制度の有償での運用に向けて、SARTRASは2021年4月にオンラインで補償金などの手続きができるシステム「TSUCAO」 を立ち上げる。教育委員会や学校法人など学校設置者自身が登録してIDとパスワードを発行し、TSUCAOにログイン後、所定の情報を入力して制度利用を申請する。申請手続きはオンラインで完結する。

 制度は学校年度と同じ4月から翌年3月を1年度とし、申請に当たって補償金算定に対象となる在学者は5月1日時点の人数を基準にする。

 説明会では、補償金の分配に関する説明もあった。SARTRASは権利者団体などを選定して分配を委託する。授業中に公衆送信した著作物の内容を学校設置者から報告してもらい、それを基に受託団体が権利者を特定して補償金を分配する仕組み。2021年7月以降、全国の約1000校の学校設置者を対象に調査し、利用報告をしてもらう予定だ。権利者の連絡先等が不明の場合、最長10年間、SARTRASのWebサイトに掲載して分配金の支払いに努めるという。