デジタル世代の若手教員の力で、「手段としてのICT」を学校全体に広める

滋賀県立米原高等学校
英語科教諭 堀尾美央氏


 GIGAスクール構想と、進むインフラ整備の中での教員のスキル向上のカギは、「手段としてのICT」というマインドセットを、管理職を含めて学校全体として持てるかどうかだと考えています。

 ICT活用は、目的ではなく、あくまで目標への手段の一つです。今までは紙中心だった校務や授業にデジタルの選択肢が入ることで、校務の効率が向上したり、生徒の学びが深まる可能性が増えたりするわけです。

 ここで期待したいのが若手教員の力です。やはりデジタル世代と言われる20代や30代の先生方は、比較的ICTに対する苦手意識は低いと感じています。私の勤務校でも、2020年5月にTeamsを導入しましたが、この時に率先して動き出したのは、主に若手の先生たちでした。彼らがPowerPointで動画を作っている様子を見て、ほかの先生たちが「授業設計にもなる」と、少しずつ使い始めた例もありました。ある授業では、生徒が描いた絵を書画カメラで映すことになり、ベテランの先生たちが若手の先生に教えてもらって練習していたこともありました。

 今までICTに馴染みがなかったのに、突然使うことになっても、難しい部分があるのは事実です。しかし、「こんなことができたら」という理想を現実にしていく力がICTにはあります。まずは、小さな理想を少しずつ現実にしていくことから始めてはどうでしょうか。そしてこの環境を作れるかは、管理職の先生方にかかっているところもあります。ぜひ、若手を含めた教員の背中を押していただきたく思います。

教員も新たなツールや環境に適応し、授業力を向上させる必要がある

東京都立三鷹中等教育学校
主幹教諭 能城茂雄氏


 これからの時代を生きていく上で、ICTを活用した学びは、児童・生徒にとって必要不可欠な学びとなっている。情報活用能力を育成する上では、ICT環境整備は必須であると感じています。特に、1人1台のICT機器は、生徒の主体的な学びを促進する重要なツールになると思います。

 今まで教員が培ってきた授業ノウハウに加え、ICTを活用した学びを融合させることで、これからの時代に必要な人材を育成することが強く求められる時代が来ていると感じています。

 そのためには、教員も新たなツール、新たな環境に適応し、授業力を向上させる必要があると思います。

保護者への積極的な情報公開や保護者との連携を

千葉大学教育学部附属小学校
教諭
ICT活用教育 兼 校務ICT化実行委員会 主任
小池翔太氏


 今回のテーマで欠かせない論点に、学校と保護者との連携が挙げられます。本座談会ではオピニオンリーダーの五十嵐立青つくば市長から 「家庭と学校をつなぐ学び」の意見が出され、さまざまな例が挙がりました。

 ここで提言したいことは、自治体・学校・教員は保護者に向けて、1人1台端末導入のビジョンと、試行錯誤の過程を積極的に情報公開すべきということです。端末持ち帰りなどを保護者からご理解ご協力いただくには、子供たちが学ぶ姿はもちろん、教員がどんな想いで実践に臨んでいるかを伝えることが重要です。

 全国各地には、有志の保護者がGIGAスクール構想推進のためにできることをしたいと考えて、コミュニティを立ち上げている例もあります。私の勤務校では、有志の保護者による「お助け隊ITツール相談窓口」が立ち上がり、休校期間中のオンライン学習の困りごとなどを保護者同士で支援していただきました。登校再開後に、教員がこの窓口へ相談する例まで見られました。

 このように自治体・管理職・教員は、ICTを活用する恩恵に加え、保護者と連携する恩恵にもあずかるべきです。 自治体や学校だけで課題を抱え込まず、互いの知見を持ち寄ることで、子供たちの成長を支える風土が作られるのではないでしょうか。

 これらの実現のためには、従来のPTA活動の発想を越えた新たな連携も模索するべきです。ICTを活用した保護者への連絡体制の構築に加え、信頼体制の構築も今まさに求められています。