米グーグルは2021年2月18日、世界の教育関係者に向けたオンラインイベント「Learning with Google」を開催し、教育機関向け統合クラウドサービス「Google Workspace for Education」(以下、Workspace for Education)を発表した。グーグルの親会社アルファベットのサンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)や、グーグルで教育関係を担当するベン・ゴメス上級副社長、アブニ・シャー副社長らが新サービスの内容や、新たに追加された機能などを紹介した。

「新型コロナウイルスの感染爆発で困難に陥った教育機関や学習者をグーグルのソリューションで支援していく」と話すアルファベットのピチャイCEO
出所:グーグルのオンラインイベント「Learning with Google」

 Workspace for Educationは、これまで「G Suite for Education」と呼ばれていた教育機関向けサービス。グループワークツールの「Classroom」やビデオ会議の「Meet」、電子メールの「Gmail」、カレンダー、ドキュメントなどを含む教育機関向けのプラットフォームだ。

 2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界中の教育機関が遠隔授業に移行したことで、グーグルの教育向けプラットフォームの利用は急増している。ピチャイCEOは「全世界で困難な状況を乗り切るため、2020年だけで4000万ユーザーがG Suite for Educationはの新規利用を始めた」と話し、教育ソリューションに注力していくと宣言した。現時点でG Suite for Educationのユーザーは全世界で1億5000万人を超えるという。

 これまでグーグルは教育機関向けに無料版の「G Suite for Education」と、高度なセキュリティや管理機能が利用できる有料版「G Suite Enterprise for Education」の2つのエディションを提供してきた。今回、幼稚園から大学院まで世界中の教育機関の多様な要望を満たすため、4つのエディションに再編する。

G Suite for Educationのサービス内容を拡充し、4つのエディション(サービス体系)に再編する

 無料版のG Suite for Educationは名称を「Workspace for Education Fundamentals」に変更する。新たに設定された「Workspace for Education Standard」は、Education Fundamentalsの機能に加えて、管理機能の「セキュリティセンター」を通じた監査ログなどのツールが利用できる。セキュリティの分析情報を提供するとともに高度な遠隔管理を可能にして、オンライン学習の安全性を高めるという。

 「Workspace for Teaching and Learning Upgrade」は教員向けのアカウントだ。同Fundamentalsまたは同Standardに追加できる。Meetの機能が強化され、Classroomの授業体験を充実させる機能を含む。

 「Workspace for Education Plus」は、有料版のG Suite Enterprise for Educationの名称を変更した最上位版。高度なセキュリティと分析、教育と学習機能などを備えた包括的なプラットフォームになる。新たに追加される同Standardと同Teaching and Learning Upgradeは2021年4月中旬から提供を開始する。

 新しいストレージポリシーの導入も明らかにした。従来のG Suite for Educationでは、クラウドストレージの容量を無制限(4人以下の組織の場合は1ユーザー当たり1TBまで)としていた。公平利用の観点から、新しいポリシーではストレージ容量は原則として1ドメイン当たり100TBまでとした。管理者・代表者は、割り当てられた容量の範囲内でどう分配するかを変更できる。また、Education Plusは1アカウント当たり20GB、Teaching and Learning Upgradeは1アカウント当たり100GBの追加ストレージを付与する。このポリシーは新規ユーザーに対しては2022年1月から適用し、2022年7月には既存のWorkspace for Education利用者にも適用される。

 Workspace for Educationの新機能として、Classroomで学習者がどのようにやり取りしているかを把握し、誰が遅れているかを確認できる「Student Engagement Tracking」を提供する。管理者が学習者の状況を理解するのに役立つ分析や名簿の同期などなどの機能により、授業の準備にかかる時間を短縮できるとしている。

 Android搭載スマートフォン向けには、紙の課題の写真をスキャンしたり、編集、アップロードしたりできる画像編集機能を提供する。Classroomアプリはオフラインでも利用できるようになる。Meetでは、教員が全員の会議を終了したり、一度に素早くミュートしたりできるようになるなど、より細かく授業や会議を制御できる。

 2020年に児童・生徒1人1台のコンピューター端末と高速の校内ネットワークを整備するGIGAスクール構想により、グーグルのChrome OSを搭載したChromebookの導入が急増した。同社によると、これまでに700以上の自治体の教育委員会がChromebookを採用したという。また、Chromebookは導入していない自治体も含めて、GIGAスクール構想でICT環境を整備している自治体全体の半数以上がG Suite for Educationを導入したとしている。