数年前から教育系の学会やシンポジウムなどで「NGDLE」という言葉を耳にするようになった。Next Generation Digital Learning Environmentの略で、日本語にすれば次世代デジタル学習環境。2015年に米国のEDUCAUSEが発表したレポートの中で、大学においてLMS(学習管理システム)の次に来る学習環境として提案された。国内では耳慣れた言葉にはなっていなかったが、GIGAスクール構想の実現によって一気に関心が高まった。

●米国で提唱されたNGDLE
●米国で提唱されたNGDLE
米EDUCAUSEの次世代LMSに関する研究において提唱されたのがNGDLE(Next Generation Digital Learning Environment)だ。その概念説明としてしばしば引用されるのが上の図だ(出所: Malcolm Brown「The NGDLE: We Are the Architects)」
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 というのも、GIGAスクール時代のICT活用教育には、NGDLEの考え方に基づいた「デジタルエコシステム」の構築が不可欠だからだ。と言われても、ほとんどの教員、教育関係者はピンとこないだろう。だが、文部科学省が推進する「MEXCBT(メクビット)」と「学習eポータル」はNGDLEの思想がベースにある。これを知らないと、それぞれが持つ本当の意義や活用方法を理解できない恐れがある。

相互運用性とデータ互換がカギ

 図はNGDLEの概念を視覚的に表している。この中でも核になる要素が「Interoperability(相互運用性)」だ。LMSをはじめ、教材や学習ツール、学習履歴分析ツールなどのさまざまなシステムが相互に結び付き、学習者はそれらを自由に組み合わせて使える。そんな世界が次世代デジタル学習環境だ。

 使うシステムを自由に選べるようにするには相互運用性が必要であり、接続する部分の標準インタフェースと、やり取りするデータの互換性がないと困る。つまり、メッセージを交換する手段とそこに書く言語を決めておかないと、意思の疎通はできないということだ。学習eポータルは、多様なコンテンツやツールと接続できるよう、相互運用性に配慮して作られている。