グーグルは20220年3月1日、小学校のプログラミング教育を支援するコンピューターサイエンス教育のカリキュラム「CS First」を公開した。

グーグルが提供を開始した「Scratch for CS First」。Webブラウザー上で動作し、提供されるコースを通じてプログラミングの基礎を学べる
グーグルが提供を開始した「Scratch for CS First」。Webブラウザー上で動作し、提供されるコースを通じてプログラミングの基礎を学べる
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 CS First は小学校 3 年生から6 年生向けに設計した無料のカリキュラム。Webブラウザーで動作する。CS First上で「Scratch for CS First」を使って授業を実施し、プログラミングの基礎を教えることができる。教員向け機能として、「Google Workspace for Education」もしくはCS FirstのアカウントからログインしてCS Firstのクラスを作ることで、児童の進捗(しんちょく)や作成したプログラムを確認できる。CS First上で作ったScratchプロジェクトは児童と教員間でのみ共有する。

Google Workspace for Educationのアカウントと連携して児童の進捗やプログラムを確認できる
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 学校がGoogle Workspace for Educationを利用している場合は、Google Classroomからのクラスを取り込むこともでき、2つのコースを提供する。

 「Scratch for CS First でプログラミングをはじめよう」は、主に3年生以上の Scratch を触ったことがない児童が対象。プログラミングの基礎(順次、繰り返し、条件分岐、イベントなど)を学べるコースだ。「私たちのまちのよさをプログラミングで広めよう」は、主に5年生以上の Scratch を触ったことのある児童が対象。総合的な学習の時間における探究的な学びを通して、住んでいる町の魅力を紹介するプログラム(町の紹介アニメーション、クイズ、地図アプリ)を開発し、プログラミングを表現の手段として用いるコースだ。

主に5年生以上のScratchを使ったことのある児童を対象にしたコース「私たちのまちのよさをプログラミングで広めよう」は、自分たちが住んでいる町を紹介するプログラムの開発を通じてプログラミングを学ぶ
主に5年生以上のScratchを使ったことのある児童を対象にしたコース「私たちのまちのよさをプログラミングで広めよう」は、自分たちが住んでいる町を紹介するプログラムの開発を通じてプログラミングを学ぶ
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 今回公開したCS Firstは、2014年に北米で開始したカリキュラムがベースとなっていて、これまで100カ国以上、200万人以上の児童・生徒、7万人以上の教員が利用している。日本のプログラミング教育に即して、内容を新たに開発した。

 学習指導要領の改訂に伴い、2020年度から小学校の授業でプログラミング教育が必修化された。特定非営利活動(NPO)法人みんなのコードがGoogle.orgの支援で実施した国内の学校教育における「プログラミング教育実態調査」では、7割を超える児童・生徒がプログラミングを楽しんでいるという結果が出た。その一方で、コロナ禍での休校や補習の対応、ICT端末整備など、学校や教員の負担が増え、プログラミング教育を小学校の授業で取り入れることへの課題が浮き彫りになった。一方、教員向け調査では「教員の専門性の不足」「指導・授業展開の難しさ」「教材・資料の不足」がプログラミング教育実施に向けての課題として挙げられた。

 小学校におけるプログラミング教育の実施に向けて、文部科学省は「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」や「小学校プログラミング教育に関する研修教材」を公開している。多くの学校で Scratchのようなビジュアル型のプログラミング言語でのプログラミング教育が主流となりつつあることから、Scratch を活用したコンピューターサイエンス教育のカリキュラムとしてCS Firstを日本向けに公開した。

 公開に合わせて、グーグルはCS Firstを小学校でのプログラミング教育で活用したい教員向けに「CS Firstを活用した、小学校でのプログラミング教育実践」のオンライントレーニングを用意。小学校におけるプログラミング教育必修化の背景説明や、CS Firstの使い方、総合的な学習の時間における効果的な活用法などを紹介する。

 NPO法人タイプティーは、CS FirstやScratchをプログラミング教育で活用する小中学校の教員を対象にオンラインコミュニティも設立した。オンラインでの事例発表や勉強会などを通して、プログラミング教育に興味のある教員同士が交流できる。