教育データの利活用や個別最適化された学習について考えるとき、まずその中身が何なのかを把握しておく必要がある。一般に教育データと言えば、学習履歴やテスト結果、LMSの利用情報あたりを思い浮かべる人が多いだろう。だが実際には、教育データに含まれる情報の範囲はもっと広い(図1)。

教育データの主な内容と収集方法
図1 教育データの中身は多種多様だ。データの収集方法も異なる

 例えば、学籍情報や成績評定などのように、公に記録されて参照可能なデータもある。反対に、授業中の挙動や脈拍など、生理的な情報も教育データに含まれる。最近は、映像の解析技術が進歩し、カメラで撮影した授業中の映像から学習者の挙動を解析して統計処理することも可能になっている(図2)。LMSやデジタル教科書・教材を利用している場合は、利用した教材の種類、開いたページ、ページを閲覧していた時間といった情報を得られる。

映像から児童の挙動を解析
図2 東京学芸大学 教育学部准教授の高橋純氏が全日本教育工学研究協議会全国大会において発表した実証研究。映像から児童の関節の動きを解析する

 収集した教育データはさまざまな統計手法で処理される。個人のデータであれば、学習のペースが速い・遅い、特定の学習要素の理解度が足りないといったことが分かる。クラス、学校、自治体単位で集めた教育データを分析すると、教員の教え方、学校の方針、教育行政の違いが学習者に及ぼす影響を調べられる。こうした分析をラーニングアナリティクス(LA)と呼んでいる。

 実践事例はまだ少ないが、九州大学はラーニングアナリティクスセンターを設立し、履歴に基づくドロップアウトなどの傾向予測や教材の改善点提示などに取り組んでいる。教育産業では、教育データの分析ツールを提供している企業もある。