学習者と教員の気付きを促す

 収集・分析した教育データの利用目的は大きく分けて3つある(図3)。1つめは学習者自身の支援。ここまで何度か紹介したように、何の学習が足りないか自覚したり、学習に必要な教材の提示を受けたりする。

教育データの利用目的
教育データの利用目的
図3 日本学術会議が「教育のデジタル化を踏まえた学習データの利活用に関する提言」の中で示した教育データの目的による分類(上の表部分のみ)
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 2つめは、教員や教育機関による授業やカリキュラムの改善だ。教員の立場では「授業を構築するときに学習履歴などのデータがあると、どんな方向に導けば教える目的を達成できるか分かる」(つくば市総合教育研究所 中村めぐみ氏)。具体的には、ダッシュボードと呼ばれる画面でさまざまな指標が可視化されて提示され、教員はそれを授業の改善に使う。客観的なデータを見れば、教える側にも気付きがあるだろう。

 10代から80歳代までの学生が学ぶ通信制大学のサイバー大学で教える田中頼人准教授によると、「課題を期限ギリギリまでやらないのは個人の性格によると思いがちだが、データを分析すると25歳以下でその傾向が顕著だった。年齢だけで判断できるため、ケアすべき学生が分かった」という。

 3つめの目的が、国や自治体による教育政策・施策の評価や見直しだ。現状の教育施策が効果を上げていないことがデータによって明らかになれば、効果的な改善策を検討できる。