教員に新たなスキルの要求

 教育データの利活用には標準化や対応教材が不可欠だが、それら以外にも人材を重要な要素として挙げる声は多い(図4)。京都大学の緒方氏は、「データやLAを授業に生かすスキルを持つ教員が欠かせない。教員にはシステムの使い方だけでなく、データを解釈して授業設計を改善するスキルが求められる」と話す。

教育データ利活用で求められる役割
図4 教育データを利活用するため教員、行政、教育産業に求められる役割。それぞれの立場において、三者が協力しなければエコシステムは機能しないだろう

 反対に、「教育データを活用できれば、経験が浅い教員でもベテラン教員と同じようなクラス運営ができ、教育の公平性を保つ助けになると期待される」(つくば市の中村氏)。国は教員養成課程においてICT活用能力を重視し始めているが、データの扱い方を学ぶリテラシー教育の重要性も増す。大学教員の場合も、教育データをうまく使って授業や教材を改善すれば、これまで以上の成果を上げられる可能性がある。

データの扱い方を決める必要

 教員だけでなく、行政に求められることも多い。例えば、教育データの扱い方に関するルールやポリシー。学習者から個人情報を取得するため、何をどんな目的で収集するのか明らかにすることが求められる。自治体が定める個人情報保護条例との関係なども調整が必要だろう。教育データをどこに保存するのかという議論も出てきそうだ(別掲記事参照)。

 教育産業が果たす役割も大きい。学習履歴などを記録できるデジタル教科書・教材、コンテンツ、サービスなどがそろっていなければ、教育データは蓄積できない。2025年度末までに100%の普及を目指す学習者用デジタル教科書は、当然、学習履歴を標準形式で記録・出力できる機能が要求されるはずだ。

 LAや個別最適化学習の実現には、教育データを分析して学習方法の提示や教材のリコメンデーションをするアルゴリズムや仕組みを開発していかなければならない。同時に、セキュリティや個人情報保護に配慮したデータの取り扱いも求められる。