日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)は2021年3月5日と6日の2日間、「GIGAスクールで拓く学びの未来」をテーマに「教育の情報化推進フォーラム」を開催した。

 3月6日には、JAPET&CEC国内調査部会部会長の井上義裕氏による「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査」が報告された。この調査では、文部科学省が実施している「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」では見えてこない状況を独自に調べている。調査結果は教育の情報化推進に向けた提言としても活用している。

 今回報告された第12回調査は、2019年8月から9月に全国1741自治体の市町村教育委員会の情報担当者と、公立小中学校約2万校から無作為抽出した小学校(3107校)と中学校(1839校)の情報担当教諭・管理職が対象だ。さらに、ほぼ1人1台のコンピューターが整備済みの学校298校も対象に加えている。

 調査期間は、文部科学省がGIGAスクール構想を公表した2019年12月以前になるため、GIGAスクール構想による整備前の状況が把握できる。次回の第13回調査は2021年に実施される予定で、GIGAスクール構想前後の両調査により、学校ICTの進展状況が比較検討できるとしている。

2019年の調査時点で、小学校の児童用コンピューターは1クラス分程度かそれ以下が大半
2019年の調査時点で、小学校の児童用コンピューターは1クラス分程度かそれ以下が大半
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 2019年の調査時点では、小学校で全児童に学習者コンピューターを整備している学校はほとんどなく(全体の1.9%、以下同)、最も多くて「1クラス分以上(40台)を整備」(38.9%)しているという状況だった。小中学校の児童・生徒に1人1台の端末を整備するGIGAスクール構想により、この状況が一気に変わるのは確実だ。

2019年時点で導入している学習者用コンピューターはWindowsパソコンが8割以上を占める
2019年時点で導入している学習者用コンピューターはWindowsパソコンが8割以上を占める
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 端末の種類については、外付けキーボードのWindowsノートパソコンが38.4%、キーボードを取り外せるWindowsパソコンが45.6%と、OS別ではWindowsが大半を占める。iPadは「キーボードなし」(25.5%)と「キーボードを付属」(2.8%)を合わせて30%近くあるが、Chromebookの利用はほとんどない(1.3%)。GIGAスクール構想では、Chromebookの導入シェアが半数を超えたとみられており状況は一変した。

児童用コンピューターの持ち帰りは認めていない小学校が大半を占めたが、GIGAスクール構想の端末整備後はこの状況が大きく変わることが予想される
児童用コンピューターの持ち帰りは認めていない小学校が大半を占めたが、GIGAスクール構想の端末整備後はこの状況が大きく変わることが予想される
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 調査時点では、児童用端末の持ち帰りは、ほとんどの学校が認めていない(94.3%)。2020年の新型コロナウイルスの感染症対策による学校休業では、オンライン授業への切り替えが進まなかった。学校に整備された端末の台数が少ないということもあり、学校内での利用にとどまったとみられる。GIGAスクール構想を受けて、今後は端末を持ち帰った在学学習も視野に入れており、児童・生徒の学びは大きく変わるのは確実だ。

小学校での指導者用デジタル教科書の整備状況。2019年時点で半数以上の自治体で導入している
小学校での指導者用デジタル教科書の整備状況。2019年時点で半数以上の自治体で導入している
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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