クラウドを利用する自治体は少数

 2019年の調査時点で、学校内のデータを保存する場所に関しては、児童・生徒が授業で作成した学習用データは8割近い学校がサーバーを「学校内に設置」して保存しており、「外部のデータセンターやクラウドサービスを利用」しているのは全体の12.2%にとどまった。一方で、児童・生徒の学籍情報や出欠情報、成績情報などのデータを扱う校務データは全体の約半数(53.7%)が学校内のサーバーに保存しているものの、政令指定都市などの大規模自治体では「外部のデータセンターやクラウドサービスを利用」するところが63.0%にのぼる。

児童・生徒の学習用データは、学校内に設置したサーバーに保存するとの回答が8割近い
児童・生徒の学習用データは、学校内に設置したサーバーに保存するとの回答が8割近い
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 GIGAスクール構想以前は、学校内にサーバーを設置するオンプレミス型の運用が多かったことが調査で裏付けられた形だ。GIGAスクール構想では、データの保存や運用をクラウドベースにすることが基本になっている。次回の調査では、この状況が大きく変わるはずだ。

インターネットへの接続については、政令市など規模が大きな自治体になるほど教育センター経由での接続が多くなる
インターネットへの接続については、政令市など規模が大きな自治体になるほど教育センター経由での接続が多くなる
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 インターネット接続については、大きく分けて「学校から直接民間プロバイダーへ接続」している方式と、「学校から教育センター等を経由して接続」している方式の2種類がある。町村レベルの学校は68.7%がインターネットに直接接続しているのに対して、政令市等では81.5%が教育センターを経由している。センター経由の場合、帯域が狭いと複数の学校からアクセスが集中すると、速度が低下することが課題になっている。

多くの自治体でネットワーク接続環境の整備予算を確保することに悩んでいることが見てとれる
多くの自治体でネットワーク接続環境の整備予算を確保することに悩んでいることが見てとれる
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 こうした状況を受けて、インターネットに接続するネットワーク環境を整備する上での課題について、ほとんどの自治体が「予算の確保」(88.3%)を挙げた。さらに「ネットワーク等の技術的な知識」(75.9%)、「ネットワーク障害の原因特定など保守や維持のための対応」(53.7%)なども課題となっている。特徴的なのは、政令市などで「回線容量や料金等の調整」が課題という回答が63.0%あった点だ。大きな自治体では学校数も増えるため、ネットワーク整備において通信帯域と回線料金とのバランスを取りつつ、事業者等と交渉することに課題を感じているようだ。

教員が校務データを自宅など学校外で処理することを認めていない自治体が7割近くにのぼった。新型コロナウイルスの感染症対策で、この状況は大きく変わるだろう
教員が校務データを自宅など学校外で処理することを認めていない自治体が7割近くにのぼった。新型コロナウイルスの感染症対策で、この状況は大きく変わるだろう
出所:JAPET&CEC「第12回教育用コンピュータ等に関するアンケート調査報告書」
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 教員の働き方に関して、校務処理に関する設問では「学校外での校務処理は認めていない」という回答が69.5%にのぼった。児童・生徒の成績など個人情報を扱うため、学校内のネットワークに外部からアクセスできないため、校務を自宅に持ち帰ることができないといった課題があった。新型コロナウイルスによる感染症対策で、教職員が在宅で勤務する機会が増え、働き方も大きく変わってきた。次回の調査ではセキュリティ・ポリシーや運用についても大きく変わるとみられる。