日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)は2021年3月5日〜6日、「教育の情報化推進フォーラム」を開催した。5日の基調講演では、文部科学省 審議官(初等中等教育局担当)の塩見みづ枝氏が登壇し、GIGAスクール構想を中心とした国の施策について説明した。

文部科学省、GIGAスクール構想で整備するコンピューターの調達状況を2020年8月に調査した。この時点では、2021年3月中にほとんどの自治体が配備を完了することになっている
文部科学省、GIGAスクール構想で整備するコンピューターの調達状況を2020年8月に調査した。この時点では、2021年3月中にほとんどの自治体が配備を完了することになっている
出所:文部科学省の発表資料
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 2020年度中に整備を前倒しした学習者用コンピューターは、調達の遅れから配備が遅れ気味だ。日本経済新聞社が2021年1月下旬に調査した結果によると、大阪市と横浜市の配備率は5割以下。名古屋市のように、早々に年度内の完了を諦め、2021年度半ばまでの配備を目指している自治体もある。これについて塩見氏は2020年8月の調査結果を示し、「3月末までには全国のほとんどの自治体で整備が完了する見込み」と従来の見解を踏襲した。だが、2021年3月時点でもパソコンの需給はひっ迫しており、納期遅れが懸念される。塩見氏はメーカーなどの民間業者に向けて「端末等の納品のさらなる前倒しをお願いしたい」と協力を求めた。

小中学校のインターネット接続状況を見ると、51.3%が教育委員会やデータセンターに回線を集約する方式を採る。センターがボトルネックになり、十分な通信帯域が得られない恐れがあると指摘されている
小中学校のインターネット接続状況を見ると、51.3%が教育委員会やデータセンターに回線を集約する方式を採る。センターがボトルネックになり、十分な通信帯域が得られない恐れがあると指摘されている
出所:文部科学省の発表資料
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 GIGAスクール構想によって校内ネットワークが高速になっても、インターネット回線が貧弱では、クラウドサービスの利用や動画の視聴などに支障が出る。学校のインターネット接続は半数以上がセンター集約方式で、さらに全体の8割近くは接続速度が1Gbps未満だ。この現状を踏まえ塩見氏は、「各自治体においてインターネット接続回線にボトルネックがないか調査し、問題がある場合は増強を検討してほしい」と訴えた。

文部科学省のWebサイト「StuDX Style」では、ICT活用教育の実践事例などの情報が掲載されている
文部科学省のWebサイト「StuDX Style」では、ICT活用教育の実践事例などの情報が掲載されている
出所:文部科学省の発表資料
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 文部科学省は省内に「GIGA StuDX推進チーム」を設け、2020年12月からWebサイト「StuDX Style」において活用情報などを発信している。文部科学省の塩見氏は「GIGA StuDX推進チームと教育委員会、教育関係者との間での情報共有を進め、4月に向けて取り組み事例の共有や課題解決のため共に考えていきたい。Webサイトもさらに充実させていく」と話した。

教員のICT活用指導力向上のため、教員養成段階から取り組みが始まっている。現職の教員に対しては、動画などを効果的に使った研修を充実させる
教員のICT活用指導力向上のため、教員養成段階から取り組みが始まっている。現職の教員に対しては、動画などを効果的に使った研修を充実させる
出所:文部科学省の発表資料
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 GIGAスクール端末の活用には教員の資質・能力が欠かせない。塩見氏は、この課題について「教師の能力を上げていくには教員養成段階からの取り組みが、現職では研修などさまざまな観点からの取り組みが必要」と指摘。「ICT活用教育を進めるために教員養成段階で何が必要かということを踏まえ、これをさらに加速、強化することを検討する」と話した。教職課程においてはICTを活用した各教科等の指導法が必修化されている一方、現職教員の多くはそうした教育は受けていない。教育データの利活用といった「教育のデジタルトランスフォーメーション(DX)」を進めるには、さらに踏み込んだ施策が必要だろう。