日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)は2022年3月11日と12日、「2021年度 教育の情報化推進フォーラム」を開催した。開催はオンライン形式で、3つのトラックで2日間、合計19のセッションが参加者に配信された。

 初日に行われた基調講演は「GIGAスクール推進に向けた国の方向性と教育ICTの支援体制について」と題し、文部科学省 初等中等教育局 修学支援・教材課長の安彦広斉氏が講演した。

文部科学省 修学支援・教材課長の安彦広斉氏
文部科学省 修学支援・教材課長の安彦広斉氏
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 最初に安彦氏は2021年10月に行われた文科省の組織改編で、GIGAスクール構想の推進役となっていた「情報教育・外国語教育課」が廃止された理由について解説した。代わって新設された「修学支援・教材課」は、児童・生徒の教育用端末などのICT整備を一体的に推進することが目的だ。併せて「学校デジタル化プロジェクトチーム」という横断的な組織も作られ、ほかの課と関わり合いながら取り組むという。情報教育という課名はなくなったが、むしろ初等中等教育局の全体でICT教育を普及させる業務を幅広く展開していく流れになる。

GIGAスクール構想は初等中等教育局で横断的に推進していく体制になった
GIGAスクール構想は初等中等教育局で横断的に推進していく体制になった
(出所:安彦広斉氏の発表スライド)
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GIGAスクール構想がなぜ必要か

 GIGAスクール構想に関しては、まず構想に至る背景から改めて紹介された。日本の人口は大幅な減少に転じ、さらに人工知能の普及で将来の職種の多くがロボットなどに代替されることになる。こうした将来を見据えて米国、英国、中国、フランスなどではICT投資額を大幅に増やし、GDPを伸ばしているのが現状だ。

 日本ではこれらの国々に比べてICT投資額は低いものの、生徒の資質は大変高く、OECD加盟国の生徒の学習到達度調査(PISA2018)では37カ国中で読解力は11位、数学的リテラシーは1位、科学的リテラシーでは2位に位置している。このほか、国際数学・理科教育動向調査では、小学校算数は58カ国中5位、小学校理科は4位、中学校数学は4位、中学校理科は3位と好成績だ。

生徒の数学的リテラシー、科学的リテラシーはOECD加盟国中でトップ
生徒の数学的リテラシー、科学的リテラシーはOECD加盟国中でトップ
(出所:安彦広斉氏の発表スライド)
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 しかしその一方で、PISA2018では学校の授業におけるデジタル機器の利用時間はOECD加盟国で最下位の37位となった。また、PISA2018で読解力の順位が11位と振るわなかった理由に、解答にコンピューターの使用が前提の問題が増えたことがある。問題文のスクロール操作、選択肢のドラッグ・アンド・ドロップ操作、問題文をタブで切り替えるといった操作の部分でスコアが伸び悩むことがあり、「デジタルの読解力」の不足が目立ったという。「新学習指導要領の下で情報活用能力の育成が大事な状況となっている」と安彦氏。

 こうした背景を踏まえ、新学習指導要領とGIGAスクール構想の関係性が紹介された。新学習指導要領が目指す資質・能力の育成には、主体的・対話的で深い学び、個別最適な学び、協働的な学びが必要だ。GIGAスクール構想における1人1台端末と高速ネットワークが、こうした学びを実現するために重要な役割を果たす。

新学習指導要領の実現をGIGAスクール構想が下支えする
新学習指導要領の実現をGIGAスクール構想が下支えする
(出所:安彦広斉氏の発表スライド)
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