ICTを家庭学習でのコミュニケーションツールとして活用することが有効

兵庫県 尼崎市立立花西小学校
教諭 山岡正明氏


 新型コロナウイルス感染症による臨時休校が終わった直後の小学校では、授業時数が不足して決められた内容をどう教え切るかが懸念事項でした。不足する授業時数を補うために家庭学習で予習として課題を出し、授業を展開しました。すると、子供が事前に課題を把握して十分に考えたり、調べたりしてから授業に取り組むことで学びが深まりました。私たちにとっては、想定外の結果でした。振り返ってみると、家庭での十分な予習が深い学びには必要であることに気づかされました。

 しかし、子供によって家庭学習の内容にはばらつきが見られるのが課題です。これを続けていくと格差が拡大してしまいます。そこで、ICTを家庭学習でのコミュニケーションツールとして活用していくことが有効ではないかと考えます。予習をする中で、疑問が出たらグループの掲示板で友達に質問したり写真を共有したり、分からないときには、先生に質問できるようにします。その内容をグループの子供が自由に見ることができるようにすることで意欲的に取り組むことにもつながり、予習の段階で学び合いが成立し、内容のばらつきも少なくなります。子供の質問には、教育経験が豊富な教員OBが答えることでヒントだけでなく新しい視点を与えるなど子供の考えをさらに広げることができます。担任だけでなく、教員OBや企業がICT導入をきっかけに連携していくことで多様な人材で子供達を教育することができ、高い効果が得られると考えます。

ICTを活用することで、保護者、教職員双方の負担も大幅に軽減できる

公益社団法人
日本PTA全国協議会 会長
清水敬介氏


 コロナ禍により急速に普及することとなったICT活用教育を足踏みすることなく加速させるために、主選択をデジタル教科書(デジタル教材)へ移行していく必要性を感じます。以前小学生のランドセルの重さに対する議論がありましたが、教科書やノートがICT端末に集約できれば、通学時の身体への負担軽減になり、紙の教科書に比べて利用範囲が広がります。また副教材の使用方法は検討が必要ですが、電子書籍のようにWi-Fi環境下で最新教材をクラウド配信する仕組みは効果的な方法だと感じております。

 座談会の中でStuDX Styleについて説明がありましたが、家庭と学校のやり取りで、個人懇談日程の希望調査のオンライン化、学級通信の配信、学校からの通知等は保護者として積極的に導入していただきたい項目です。PTAでも利用可能な範囲で活用させていただければ、保護者、教職員双方の負担を大幅に軽減することが可能になり、また利用方法について話し合うコミュニケーションの機会が増えれば信頼関係の向上にもつながり、授業以外にもICT活用の効果の幅が広がると思います。

 学校教育については、これまで国や自治体と学校との話し合いが主でありましたが、今後は保護者や地域住民、そして企業といった多くのステークホルダーが関心と関わりを持ち、ICTの有効活用によって、更なる教育の質向上、ひいては子供たちの学びや成長に大いに寄与することを切に願います。

オンライン授業で改めて分かったのは、リアルなコミュニケーションの大切さ

青山社中株式会社
筆頭代表 CEO 朝比奈一郎氏


 座長の鈴木寛先生のご発言の通り、なかなかウィズコロナ時代が終わらない現状があります。仮に終わっても、進展する地球温暖化の影響で感染症が今後頻出するとも言われています。また、感染症に限らず、震災等の災害によってリアルな形での授業が開催できない事態も今後多々起こり得ます。あるいは既に、身体・精神的な事情やその他個別事情によりリアルに講義が受けらない生徒は少なくありません。リアルに授業を受けられない事態・個別事情が多々想定されるなか、日進月歩の発達を遂げているICT技術活用による代替の重要性は増すことはあれ、低減することはないのは自明です。

 日本マイクロソフトの中井陽子氏のご発言にもありましたが、今回のコロナ下でのオンライン授業の実施で改めて分かったのは、リアルなコミュニケーションの大切さです。単純な意思疎通はオンラインで十分でも、精神的な安心感の維持、つながりを意識することでの前向きな意欲の喚起など、特に教育の世界においては、リアル講義の持つ意義は相当に大きいと考えます。今回のコロナ拡大局面をはじめ、上記の非常時などに、やむを得ず行うICT活用授業が、いかに限りなくリアル講義に代替できるかがカギになります。アバターの活用などが典型ですが、特に、こうした観点では、エンターテインメントの世界(バーチャル空間でのライブ、没入感の強いオンラインゲームなど)での技術進歩が著しいところ、積極的にこの分野の技術・経験を取り込んでいくことが重要です。