県域の新規調達のほとんどがChromebookに

小崎 2019年12月時点では希望する自治体がゼロだったChromebookですが、勉強会の後は、半分くらいの自治体がChromebookを検討し始めました。2020年3月になると、管理のしやすさや導入後のランニングコストを鑑みてChromebookの希望が増えました。端末の入札を2020年7月に実施することに決め、5月の大型連休明けに調達希望端末の最終調査をしたところ、97%がChromebook、残りがiPadで、Windowsパソコンを選んだ自治体はないという状況でした。

 奈良県では県域で、日本マイクロソフトと「Microsoft 365」等のライセンスの包括契約を結んでいたので、Windows端末を選択する自治体がほとんどではないかと予測していたので、この結果には驚きました。個人的には、それぞれの自治体が各OSの端末を3分の1ずつくらい調達して、学校内で状況に応じて使い分けられるようにするのが理想だと思っていましたので。

つくば市は過去からの継続性を重視

つくば市は、これまで培ってきたICT活用教育の継続性を重視し、Windowsパソコンを選択した。みどりの学園義務教育学校の授業では、各自の端末から自分の考えを送信

中村 奈良県がChromebookにそれほど引かれて調達したというのは驚きです。つくば市ではこれまでの歴史との継続を考えてしまいます。予算を考えると、これまでの積み上げとの継続性を断ってゼロから別のOSを搭載した端末を導入し、多忙な教員に対して新しいOSの使い方などの研修をするのは効率的ではありません。だから、すでにある資産を効果的に引き継いで使えるようにすることで負担を感じさせないようにすることを考えました。奈良県では、全く新しいOS環境に変わるという警戒心はなかったんでしょうか?

小崎 奈良県は、学習者用端末の整備が遅れていたので、導入端末をどうするかを過去に捉われずに一から考えたことが、この結果につながったのではないかと思っています。

中村 教職員が使う端末もChromebookの選択が多かったんですか?

小崎 いいえ。校務端末はWindowsパソコンが100%ですね。児童・生徒の学習者用端末はChromebook、教員が授業で使う端末は何でもいい、校務系ネットワークにつなぐ校務用端末は全てWindowsパソコンです。

学習支援ツールの「STUDYNOTE 10(スタディノート 10)」を使って全員の意見を共有。写真はつくば市立みどりの学園義務教育学校

使用する端末は自動車のようなもの

中村 奈良県の教員は皆さん冒険心をお持ちですね。教員が校務に使うのはWindowsパソコンなのに、生徒が授業で使う教務用は別のOSの端末で、使い方を学び直さなければいけないことになったら教員の負担が生じてしまうのではないかと考えてしまいます。つくば市では、メールやクラウドストレージにマイクロソフトのサービスを利用しているので、授業でも同じアプリやサービスを使うことで教員の負担を極力軽減したいという働き方改革の視点を考えました。

 つくば市は、児童・生徒も先生も同じOSを使用することで、教育場面で使用する利便性だけでなく、共有のしやすさやこれからのデータ利活用でもスムーズであることも今回の継続の理由ですね。

小崎 奈良県は、使用する端末を自動車に例えて考えました。Windowsはトヨタで、Chromebookは日産、iPadはホンダという感じです。同じ自動車メーカーの車に乗った方が細かい操作性が統一されて楽な気もするけれど、目的地に向かってドライブするという点ではどれも同じですから。

 クラウドのコンテンツだけで大丈夫か、違うOSでも本当に同じことができるのか、ということについては、私自身が3種類のOSの端末を常に持ち歩いていて、説明会では目の前に並べて、選んでもらった端末でプレゼンをしていました。クラウドを活用することができるようになって、社会で生きていくための基本的な力は、どの端末でも同じようにできる時代になったということだと思います。