日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)は2011年から、教育分野のICT活用事例を表彰する「ICT夢コンテスト」を開催している。2019年度のコンテストでは、298件の応募があり、32件の事例が入賞した。32の事例のうち「音楽科」で唯一受賞したのが、埼玉県越谷市の私立学校「獨協埼玉中学高等学校」の「楽譜作成ソフトで音楽科・創作の課題を解決、新指導要領も先取り」。授業を担当した非常勤講師の相原結氏の取り組みを紹介しよう。

 普通教科と比べて、一般に音楽科でのICT活用は進んでいない。過去5年間のICT夢コンテストでも、158件の入賞事例のうち音楽科の入賞事例は、他教科と連携した取り組みを含めても5件しかない。これは、ICT活用に積極的な教員やデジタル教材が普通教科と比べて少ないことが背景にあると思われる。こうしたことから、全国の教員が参考にできる実践事例も、普通教科と比べて少ないのが現状だ。

 獨協埼玉中学高等学校の取り組みは、中学1年生が対象。実践したのは、「学校生活の中で鳴ってほしいチャイムを創作する」「複数のチャイムを聞き比べて作曲者の意図を探る」の2つの授業だ。授業には、パソコンと無料の楽譜作成ソフト「Muse Score」を利用した。Muse Scoreは、マウス操作で、楽譜上に音符を配置したり、曲を再生したりできる。同校の音楽の授業は、1コマ50分の授業を2コマ連続で行っている。2つの取り組みは、いずれもこの中で60分程度で実施したという。

 チャイム作りは、2人1組で取り組んだ。生徒は、ワークシートを基に「曲名」「どんな雰囲気にするか」を話し合って決め、ソフトを使って音やリズムを変えながら、イメージに合う曲を作り上げた。また、ソフトの機能で音を「トランペット」や「声」に変更するなどして、楽器(音色)が変われば曲の雰囲気が変わることを学んだ。

埼玉県越谷市の私立学校「獨協埼玉中学高等学校」
中学1年生の音楽の授業でICTを活用した
授業を担当した相原結講師
無料の楽譜作成ソフト「Muse Score」。マウス操作で、楽譜上に音符を配置したり、曲を再生したりできる