学習指導要領の定める「創作活動」の実施率は4割程度

 実は、中学校の音楽科では、「創作」の取り組みが進んでいないという課題がある。学習指導要領では、授業の中で「歌唱」「器楽」「創作」「鑑賞」の学習を実施することになっている。全日本音楽教育研究会中学校部会は、学習指導要領の各項目に対して、授業で扱っている割合を調査して、2015年度に報告書にまとめている。それによると、創作分野の項目で「よく当てはまる」「当てはまる」と回答した学校の割合は、「言葉や音階などの特徴を生かし、表現を工夫して旋律をつくる」では43%、「表現したいイメージをもち、音素材の特徴を生かし、反復、変化、対照などの構成や全体のまとまりを工夫しながら音楽をつくる」では36%に留まっている。これに対して、歌唱分野の「歌詞の内容や曲想を味わい、曲にふさわしい表現を工夫して歌う」では99%、鑑賞分野の「音楽を形づくっている要素や構造と曲想とのかかわりを理解して聴き、根拠をもって批評するなどして、音楽のよさや美しさを味わう」では96%に達している。

 創作の取り組みが進んでいないのは、限られた授業時間の中で実施するのが困難なため。生徒が作曲しようとすると、まずは考えた曲を楽譜に記して、それをリコーダーやピアノなどで演奏して確かめる必要がある。ところが、こうした知識や技能を持つ生徒は一部なので、大部分の生徒は教員の手助けが必要になる。「何をやったらよいのか分からずに待っている生徒が増え、授業時間もどんどん無くなる。そのうちに、生徒が作曲を嫌いになり授業が嫌になる」(相原講師)という。

 作曲ソフトを使えば、画面上で音符を配置して再生ボタンをクリックするだけで、作曲した曲を確認することができる。試行錯誤しながら、イメージに合った曲を作り上げることも容易だ。同校の授業では、ほとんどの生徒が1時間の授業の中で作曲できたという。生徒の作品はクラス全員に披露。それを聞いた生徒は、理由とともに「ベストチャイム3作品」を書いて提出した。

創作の授業は、2人1組で取り組んだ
授業では、コンビニエンスストアの入店音、最寄り駅の発車音など、身近なチャイムを題材にした
ワークシートを基に、生徒同士で話し合いながら創作した
生徒の作品例。作品はクラス全員に披露した