「プログラミング教育」や「プログラミング的思考」といった言葉は、いまやあちこちで聞かれるようになってきた。そんななか、昨年(2019年)の12月に、イチからプログラムを書く能力を問う日本初の検定である「アルゴリズム実技検定」の第1回試験が開催された。今年(2020年)の4月には、第2回の試験が行われる(図1)

図1●アルゴリズム実技検定のWebサイト

 アルゴリズムとは、何らかの課題をどのようにして解くか、その方法のことを指す。プログラムを書くというのは、プログラミング言語を使ってアルゴリズムを記述することにほかならない。

 プログラミングの能力を測るコンテストなどはすでにたくさんあるが、このアルゴリズム検定の特徴は、「イチからプログラムを書く能力」が試験問題として設定されていること。プログラマーにかぎらず、一般社会人でもアルゴリズム(つまり課題を論理的に解く方法)が重要視されているなか、IT・金融・人材業界等、さまざまな企業からの受験者が参加している。

 この検定はどんな人に有効なのか、また、子どもたちを取り巻くプログラミング教育への考えについて、検定を主催するAtCoder(アットコーダー)社の代表取締役社長である高橋直大氏に聞いた(図2)

図2●AtCoder代表取締役社長 高橋直大氏

――アルゴリズム検定を創設したねらいについてお聞きします。

 個人が持つアルゴリズム実技能力の実力を“見える化”するための指標がほしいと思い、このアルゴリズム検定を作りました。アルゴリズムの実技能力を測る検定は、私が調べたかぎり、これまでは日本にありませんでした。

 AtCoderでは、これまでも「競技プログラミングコンテスト」というものを提供しています。これは、弊社が出すプログラミング問題について実際にコードを書いて解答していくことでプログラミングスキルを測れる、というものです。プログラミングを「競技」として提供しているわけです。

 しかしこのコンテスト形式では、何回にもわたってコンテストに参加するのが前提となっていました。その複数回の参加結果をもとに、その人のプログラミングスキルを測るのです。

 しかし、アルゴリズムの能力を測ることを一般の方々に普及させることを考えたとき、このコンテスト形式では、時間がとれない社会人が参加するのは難しいと思いました。そこで、コンテストではなく、1日で受けられるようにしたいと思って、このアルゴリズム検定を作ることにしました。

 IT関連企業への就職だけでなく、企業内でのIT関連部署の人材が、どの程度プログラミングの(アルゴリズム実装の)スキルを持っているかを可視化できるようにするのが、この検定のねらいと言えますね。

――どのような仕組みで受験するのでしょうか?

 検定の受験者は、自宅のパソコンから検定のWebサイトにアクセスして試験を受けます。オンライン受験というかたちです。

 受験者は、自分のパソコンでプログラムを書き、その結果をAtCoderのサーバーに送ります。AtCoderのサーバーでは、送られてきたプログラムをコンパイルして実行します。サーバー上で実行して動かしてみて、実行時間と使用メモリー量が制限以内であれば正解、そうでなければ不正解、としています(図3)

図3●第1回の検定の過去問題は公開されている

 また、不正解になるケースを事前にたくさん用意していて、そのケースに合致したら不正解とするなど、効率的な採点システムを構築しています。

――検定の対象者は、社会人ですか?それとも学生ですか?

 年齢層は特に意識していないので、興味のある方はどんどん受けてもらいたいですね。どちらかに絞るということはしていませんが、一回の試験で実力判定ができるようにしたいということもあるので、あえて言えば社会人に受けてもらいたいと思っています。学生さんは時間があるので、今までの「競技プログラミングコンテスト」にも出られますし。

 あるいは学生さんには、英検や漢字検定みたいな受け方をしてもらっても面白いと思います。学校などで、「当校では何人合格しました」みたいに言ってもらうような使い方もできると思います。