—学びのSTEAM化とは?

 EdTechは学習のためのツールでしかなく、限られた時間の中で知識習得を効率化し、学んだことを発展的に活用して課題解決していくことが重要です。この2年ほどSTEAMのコンテンツを洗練させてきて、ある程度完成形に近づいていますが、実証事業での実践数は限られています。

 今後は、例えばオンライン上で公開して、多くの先生に授業で実践できるか試してもらいます。STEAMのコンテンツはまだ少ないので、数を増やしていくことも課題です。

—STEAMのコンテンツとはどのようなものですか?

 経済産業省の施策と絡めた例でいうと、「水素社会を考える」というテーマでは、高圧な水素ガスの法規制の議論や、水素はそもそもどうやって生産するのかといった理科や化学の考え方が必要です。

 他にも例えば「次世代自動車の社会実装を考える」というテーマでは、自動運転を実現していくのに必要になってくるパスワードを生成するため数学的に乱数をどう活用するか、自動運転で事故が起こった時にメーカーや乗車していた人の法的責任をどう問うか、といった文理融合の知識が必要になります。

 これまではそれぞれの科目を学んで知識を積み上げてきましたが、STEAMではテーマがあってそれを科目にひも付けていくことが本質ですので、さまざまなテーマが考えられます。STEAMを実践していくには、教師が授業でどう教えるかという指導案や、対象となる単元とのひも付け、生徒がグループ作業をするためのワークシートなども必要です。米国では既に、公共放送のPBSが動画教材のライブラリーを整備していますが、こうしたコンテンツの中身の整理も必要になってきます。

米国の公共放送PBSは、教育用途に無償で利用できる多数の動画素材を提供している

EdTech企業を実証事業で支援

—2019年度の補正予算では「EdTech導入実証事業補助金」制度が始まります。

 地方自治体を対象にした「自治体ピッチ」の中でも説明しましたが、10億円という予算で、学校現場にEdTechサービスを提供する事業者に対して費用の3分の2を補助します。EdTech企業と学校や教育委員会が組んで実施計画を作り、事業者から補助金申請してもらい、審査の上で採択されたら交付申請してもらいます。

 今回の予算では1000校くらいを目安に、公立校・私立校を問わず使ってもらいたいと考えています。2020年度は文部科学省のGIGAスクール構想が始まり、コンピューターと校内ネットワークが整備されていきます。補助するのはEdTechサービスの利用料等ですが、今回、感染症対策で休校となった学校は多く、学校現場もいろいろ考えるきっかけになったので需要は大きいと考えています。

 企業の側から見れば、この実証に採択されれば学校に対して実際にかかる経費の3分1の自社負担でサービスを提供できます。これまで多くのEdTech企業はサービスを無償提供して来ましたが、この事業に採択されれば、3分の2は売上になります。経済産業省としては、スタートアップやベンチャーが多いEdTech企業の振興という意義があるのです。