2024年度(令和6年度)の学習者用デジタル教科書の本格導入に向け、課題整理や技術検証が静かに、しかし着実に進んでいる(図1)。

 文部科学省は2021年度の「学習者用デジタル教科書普及促進事業」として22億円の予算を計上している。2021年3月には、同省が設置する「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」(以下、検討会議)が「中間まとめ」の中で、2024年度を学習者用デジタル教科書の本格導入の契機とするよう求めた。

●学習者用デジタル教科書本格導入までに解決すべき課題
図1 文部科学省は2024年度に学習者用デジタル教科書の本格導入を目指す。検討会議では図のような課題が検討され、2021年度は実証事業も同時並行で進んでいる

全国半数の小中学校で導入へ

 普及促進事業は3つの実証・検証から成る(図2)。文部科学省の資料だけを見ても違いが分かりにくいが、予算の9割以上を充てる(1)学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業は、「まず学校に配って使ってもらうことをコンセプトにしている」(文部科学省)という。対象となるのは「1万5000校程度の小中学校で、全国の半数程度に当たる」(同)。小学5年生、6年生と中学校全学年に対し、1教科分の学習者用デジタル教科書(以下、デジタル教科書)を使えるようにする。

●3つの実証事業が進行中
図2 2021年度、文部科学省は3つの実証事業を実施する。22億円という予算規模から、学習者用デジタル教科書の早期普及に本腰を入れていることがうかがえる

 学校でいったん使い始めたデジタル教科書を「実証は終わったので翌年は使えません」とするのは、教育の継続性を考えると好ましくない。このため、2022年度以降も引き続き国の予算で無償供与するか、地方自治体が購入費用を負担して継続せざるを得ないだろう。1教科分とはいえ、半数の小中学校でデジタル教科書が継続的に使われれば、普及に弾みがつくことは容易に想像できる。文部科学省の本当の狙いはそこにあるのではないか。

 これに対して(2)学習者用デジタル教科書のクラウド配信に関するフィージビリティ検証は、文字通りクラウド配信されるデジタル教科書を1人1台端末で問題なく使えるか、技術面の検証をする。最後の(3)学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究は、これまでも実施してきたデジタル教科書の使用による効果や影響の調査で、2021年度は(1)の実証事業とも連携して分析を進める。