ニューノーマルの働き方が浸透し、「Zoom」や「Teams」などのオンライン会議ツール利用が日常のものとなった。それに伴い“顔出ししない”会議の割合も増えてきた。外部関係者との打ち合わせや営業活動では顔出しはマナーだが、部署内の定例ミーティングなどでカメラをオフにしているケースは多い。在宅勤務の様子を見られたくないといった心理に加え、映像データ通信の負荷を減らしたいことも大きな要因になっている。ぶつ切れのやり取りではかえってストレスがたまるからだ。

 こうした流れもあり、より円滑にコミュニケーションが可能なオンライン音声サービスが2021年に入って注目されている。筆頭株は音声SNS音声SNSが隆盛、日本人が手掛けたサービスもの「Clubhouse」だ(図1)。2020年3月に米国でリリースされたアプリで、2021年3月8日現在はiOSのみの対応。Androidやパソコン向けのアプリはリリースされていない。

●躍進の鍵は音声でつながる楽しさ
●躍進の鍵は音声でつながる楽しさ
図1 「Clubhouse」の画面イメージ。日本語化はされていない(2021年3月8日現在)
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 Clubhouseは音声を軸としたユーザー参加型のコミュニケーションサービスで、「room」と呼ばれる部屋に入ってスピーカーの話を聞いたり、自らが発言したりして交流する。実名と電話番号で登録後、すでに登録済みのユーザーから招待を受けて初めてサービスを利用できる。1人が招待できる枠は2人までとなっており、会話記録は禁止でアーカイブできないなど、ほかのSNSに比べてハードルが高いのが特徴だ。

 それにもかかわらず、2021年1月下旬から日本でもClubhouseが一気に流行。約1000名を対象としたLINEリサーチの調査では、1月末から2月半ばまでの約2週間で認知度は19%から66%と3倍強に急増した。普段は接点のない人たちと秘匿性の高い空間で交流し、“ここでしか聞けない話”をライブで楽しめるユーザー体験がヒットした。著名人やインフルエンサー、芸能人などが続々と参加したことも過熱ぶりに拍車をかけた。一方で会話内容の漏洩が後を絶たず、出会い系や情報商材セミナーへの悪用が出てくるなど一部では問題も見受けられ、「Clubhouse疲れ」なる言葉も出てきた。