デジタルシティズンシップは、日常的にICT機器を使うこれからの学校において、情報モラルの次に来る考え方として注目されている。一般に、日本の小中高等学校では、デジタル機器やインターネットの利用に関する行動規範を学ぶ情報モラル教育をしてきた。その中でデジタル機器やネットの使用を制限することによって、子供たちをトラブルから遠ざけようとする傾向がある。例えば、「学校の端末でYouTubeを視聴してはいけません」「スマホを使うのは1日〇時間までにしましょう」といった具合だ。「危なそうなものは使わせなければ問題は起こらない」という学校側の論理だ。だが、包丁の使い方も火の扱い方も教えずに、料理ができるようにはならない。

これまで国内向けのデジタルシティズンシップ教材はほとんどなかったが、経済産業省の「STEAM Library」に動画などが登録されて利用できるようになった
これまで国内向けのデジタルシティズンシップ教材はほとんどなかったが、経済産業省の「STEAM Library」に動画などが登録されて利用できるようになった
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 GIGAスクール構想によって、全国の小中学校に1人1台のコンピューターが整備された今、端末を学校の内外を問わず活用し、情報活用能力を身に付けるには、抑制的な情報モラルが足かせになる恐れが指摘されている。コンピューターはノートや鉛筆と同じ学習道具と言いながら、自由に使わせないという矛盾が学校で生じている。児童・生徒の安全を確保しつつも、学習には自由に使えるようにしなければ、新学習指導要領が目指す情報活用能力の育成はおぼつかない。