東京都小金井市と東京学芸大学、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は2021年4月20日、「GIGAスクール構想による個別最適化された深い学び等の実現に関する連携協定」を締結した。主な協力事項は下記の通り。
・教育委員会に設置される推進体制への助言、サポート
・優良成功事例やノウハウを情報発信、横展開
・「まなびポケット」を活用した教育実践による効果検証
・小中学校におけるICT機器の研修および利活用のサポート
・小中学校が取り組む研究テーマへの連携・協力

小金井市、東京学芸大学、NTTコミュニケーションズは連携協定に調印した。左から東京学芸大学 学長の國分 充氏、小金井市 市長の西岡真一郎氏、NTTコミュニケーションズ 社長の丸岡 亨氏

 小金井市はすでにGIGAスクール構想による1人1台の端末整備を終え、活用段階に入っている。端末はChromebookで、教育用プラットフォームとしてNTT Comの「まなびポケット」を採用した。同市の西岡真一郎市長は、連携の狙いについて「コロナ禍が深刻な状況の中で、どんなときも学びを止めない体制を構築することは重要。また、創造的な学びに欠かせないツールがICTだ。連携協定によってICTの効果を最大限発揮させる小金井モデルを発信していきたい」と話した。

連携協定のイメージ。小金井市はNTT ComからICTの利活用に関する支援を、東京学芸大学からはICT活用教育に対する学術的な評価・助言を得る
(出所:NTTコミュニケーションズの資料)

 GIGAスクール構想によるICT環境整備は進んだが、それを活用して授業の質を高めていくためには乗り越えるべき課題も多い。小金井市教育委員会 教育長の大熊雅士氏は、「教員によってICTリテラシーに差があり、ICTの利用に抵抗感を持つ教員もいるのでサポートが重要。反対に、ICT活用に重点を置くあまり、教科の狙いを著しく逸脱する恐れもあると危惧していた」という。このため、東京学芸大学から教科で狙っている学習の成果を得られているかといった学術的な評価や助言を受ける。

 教員養成の中核を担う東京学芸大学にとっても、連携の意義はあるという。これからの教員には授業にICTを活用する資質・能力が求められており、國分学長は「小金井市との連携によりICT活用教育の実際が見られることは、将来の教員を養成するという点で意味がある」と説明した。

教育データの利活用で個別最適化に期待

 教育プラットフォームを通じて収集した教育データを分析することで、学習の個別最適化が可能になる。NTT Com の丸岡社長も、「学習履歴が取れるので、子供たちの認知状況に応じた適切な指導ができるようになるだろう」と期待している。

デジタル教材を利用した履歴などの教育データは、適切に分析することで児童・生徒に個別最適化した学習環境を提供可能になる
(出所:小金井市の発表資料)

 ただし、教育データの利活用については、個人情報を含む学習履歴や成績情報などの扱い方に関するルールや共通認識が定まっていない。この点について小金井市の大熊教育長は、「教育データはとても慎重に扱う必要があると考えている。今回の取り組みでは、あくまでも学校の中での活用にとどめている」との考えを語った。

 教育データを授業設計に生かすには、教員にもデータ活量能力が必要になってくる。この点について、東京学芸大学の國分学長は、「本学はカリキュラムを変更しているところで、データサイエンス系の科目も取り入れていく」(國分氏)という。

 連携協定による取り組みは2021年5月から活動を開始し、NTT Comを通じて成果を一般公開する予定だ。