新型コロナウイルスによる感染症の拡大により、新学期にもかかわらず全国ほとんどの学校が休校する中、2020年4月7日に閣議決定され、4月20日に内容が追加・変更された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」で、ICTを活用した教育に関する多くの施策が盛り込まれた。

 政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大を押さえ込むまでを「緊急支援フェーズ」として事態の早期収束を図っている。一方で、感染が収束してからを「V字回復フェーズ」とし、甚大な影響を受けた分野を重点的に思い切った施策を行い、需要喚起と社会変革の推進を図るとしている。このV字回復フェーズでは、ニーズが顕在化したテレワークや遠隔教育の取り組みを強化し、「我が国のデジタルトランスフォーメーションを一気に進める」という。

新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策に、さまざまな教育のICT化に関する施策が盛り込まれた

 多くの小中学校や高等学校、大学では休校措置がとられていて、休業が長期化することで教育課程の実施に支障が生じている事態を受けて、特例的な措置として遠隔教育により児童・生徒、学生の教育機会を確保するため、柔軟に施策を運用する。

 遠隔教育に関しては、小中学校の児童・生徒1人1台のコンピューター端末を整備する「GIGAスクール構想」を加速し、感染拡大防止のために登校できない児童・生徒が自宅で端末を使ってオンラインで授業を受けられるよう、文部科学省を中心に関係省庁が協議し、可能な限り早期に端末の手配や通信環境の整備を行う。

 一方で、GIGAスクール構想による端末整備には一定の時間がかかることを受けて、文部科学省は2020年4月23日、各都道府県の教育委員会などに「ICTを活用して家庭で学習や公務を継続するための手段や留意事項」を通知した。

 その中で、(1)家庭でパソコン・タブレットやスマートフォンなどを所有している場合は、児童・生徒の家庭学習にも活用されるよう家庭の理解を得つつ進める、(2)各学校で家庭の通信環境について至急把握し、保護者や児童・生徒が使用する家庭のスマートフォンやモバイルルーターなどを活用できる場合は通信手段として活用する、(3)学校で既に整備されている端末を持ち帰って活用することが可能な場合には、平常時のルールにとらわれることなく積極的に持ち帰りを推奨して活用することなどを求めた。

 緊急経済対策の中では、遠隔授業の要件を見直すことも決めた。現在、遠隔授業は「合同授業型」「教員支援型」「教科・科目充実型」の3類型あるが、いずれも教員が対面にいることが条件となっている。

 今回、児童・生徒が自宅からICT環境を活用して学ぶ場合は、対面に教員がいなくても、正式な授業に参加したものと認める。さらに、遠隔授業は教員と児童・生徒の「同時双方向」であることが要件だったが、児童・生徒が時間や場所の制約を受けずに学ぶことができる環境を整えるため、授業の内容に応じて同時双方向ではないオンライン上の教育コンテンツを使って学んだ場合でも、正式な授業に参加したものと認める。