新型コロナウイルスによる感染症拡大を受けて、新学期に入ってからも多くの大学では学生の入構を制限し、従来のような対面型の授業を中止してオンライン授業に切り替えて開講し始めた。

 授業をこれまでの対面型からオンラインでの講義に切り替えることで、学生は受講する環境を早急に整備する必要に迫られている。しかし、スマートフォンしか保有せず、パソコンや無線LAN環境がない学生や、動画による講義を視聴するためのデータ通信量が不足している学生もいる。緊急事態宣言が出されたことで、テレワークなど在宅勤務を迫られる会社員が急増し、パソコンやタブレットの需要が増えて品薄な状況が続き、学生が希望する機種を購入できないケースも出てきている。こうした状況を受けて、多くの大学では遠隔授業を円滑に受講できるよう学生の支援に乗り出している。

ほとんどの大学がオンライン授業に移行した。学生が受講に必要な機器の貸し出しや購入費用などを支給する大学が相次いでいる

早稲田大学は、経済的に困窮している学生を対象に1人当たり10万円緊急支援金を給付するとともに、オンラインでの受講に必要なパソコンや、無線ルーターなどの貸し出しを始めた。家計支援のための緊急奨学金も含めると、総額では5億円にのぼるという。

 立教大学も学生がオンライン受講を含めた学習環境を整え、安心して授業を受けられるための措置として、全ての学生に対して一律5万円の「学修環境整備奨学金」を給付する。

 慶應義塾大学は、経済的な理由でオンライン授業の受講開始に必要な通信環境の整備が困難な塾生に対して、当面1万5000円の補助金を支給する。

 関西圏では、近畿大学がオンライン授業等の環境整備を含めた「自宅学修支援金」として全学生に一律5万円を支給する。

 学生側がオンライン授業を受けられる環境を整えると同時に、大学側も今までになかったICT環境の整備を迫られている。全ての授業を一斉にオンラインで映像配信をすることでデータ通信量が増大することに加えて、学生が同時にアクセスすればサーバー側の負荷が一気に高まる。実際、東北大学では2020年4月20日の授業開始に際して、学生のアクセスが集中してシステム障害が発生し、一部の学生が授業を受けられない事態が起きた。

 大学側のシステム増強や教員のICT環境整備は急務だ。明治大学は、オンライン授業に堪えるように教育サーバーを増強した。さらに、オンライン会議サービス「Zoom」のライセンスを全教員2700人分購入し、図書館システムの遠隔利用のためのVPN接続回線も強化した。近畿大学も、Zoomの教員用アカウント3000人分、コミュニケーションツール「Slack」の教員・学生用3万6000人分のアカウントを購入した。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収束したとしても、大学のオンライン授業の流れは変わりそうにない。大学側、学生側ともにICTを駆使してどうやって学び続けるか、模索が続きそうだ。

(2020年5月11日:早稲田大学の支援策について、一部事実と異なる部分があったため修正しました)