教員よりもデータを信用するのか

 ビジネスでは「データに基づく経営」の必要性が指摘されるようになって久しい。一方、教育現場では教員の経験や感覚が重視され、「教育データと言うと、教員よりもデータを信用するのかという話になりがち」(堀田氏)だ。しかし、データに基づく教育は、教員にとってもメリットは多い。堀田氏は「データを有効に利用して教員が自分の教え方の正当性を証明できる。自分たちの指導が十分に効果を上げていないことがデータで明らかになれば、それを修正することもできる」と説明する。

 ただし、データ駆動型教育に転換するために不可欠な教育データは、まだ収集方法も分析方法も確立していないのが現状だ。まず、初等中等教育では、LMSのような学習履歴などを記録・保存できるシステムがない。教育データの形式や扱い方も定まっていないし、データの分析手法や学習者へのフィードバック方法も研究の途上にある。データ駆動型教育への道のりは遠い。

文部科学省の「MEXCBT(メクビット)」は、2021年度から全国の学校が参加できるようになった
文部科学省の「MEXCBT(メクビット)」は、2021年度から全国の学校が参加できるようになった
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 とはいえ、データ駆動型教育への転換に向けた動きは始まっている。文部科学省はすでに学習指導要領へのコード付与を終え、今後は学習者と教員のID、学校のIDを整備していくことになるだろう。同省が作ったCBTシステム「MEXCBT(メクビット)」に接続する「学習eポータル」には「まなびポケット」(NTTコミュニケーションズ)や「Open Platform for Education」(NEC)が対応予定だ。教育向けのプラットフォームが整えば教育データがたまり、分析が可能になってくる。

 堀田氏は、「教育データを活用し、データ駆動型教育を実現するには、まだまだ決めなければいけないことがたくさんある」と指摘する。それらを決めていくのが本年度であり、「令和3(2021)年度はデータ駆動型教育に向かう年になる」というわけだ。同様のことは、2021年3月に文部科学省が公表したデジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議の「中間まとめ」にも書かれている。同会議は2021年7月末までを開催期間としているが、決めるべきことが山積している以上、活動期間は延長されることになりそうだ。