ICT活用教育で、いま最も活発に議論されている話題が「教育データの利活用」だ。政府が設置する教育再生実行会議が2021年6月に発表した第12次提言の中で「データ駆動型の教育への転換」が必要として、教育データの利活用を促した。2022年1月には、デジタル庁と文部科学省など4省庁が合同で「教育データ利活用ロードマップ」を発表した。

教育再生実行会議が2021年6月に出した第12次提言から、教育のデジタル化に関する記述を抜粋した。データ駆動型教育への転換と遠隔・オンライン授業の推進を求めている
教育再生実行会議が2021年6月に出した第12次提言から、教育のデジタル化に関する記述を抜粋した。データ駆動型教育への転換と遠隔・オンライン授業の推進を求めている
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 ビジネス界では、データ駆動の重要性が説かれるようになって久しい。POSレジのデータ分析のような活用法から広がり、ネット社会である現在では、あらゆる種類のデータが収集され、ビジネスはもちろん、日常生活の多様なサービスで欠かせない存在になっている。新型コロナウイルス感染症対策として、毎日のようにさまざまなデータが報道され、データに裏打ちされたエビデンス(根拠、証拠)に基づく対策の必要性も広く認識された。

 先述の第12次提言の作成に関わった国立情報学研究所(NII)所長の喜連川優氏は、「医療がデータを基に薬の処方や手術などをしているように、デジタルを活用し、教育でもエビデンスに基づく教育、データ駆動型教育を目指す時代となる」と述べている。

 東京大学 特任教授の喜連川氏はデータベース工学の分野で優れた業績を残し、情報処理学会の会長も務めた。コロナ禍によって全国の学校が休業(休校)になると、いち早く「4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウム」を立ち上げ、オンライン授業などに関する情報を共有する場を提供。多くの教員を助けることになった。

 喜連川氏は2022年6月2日から開催される「New Education Expo 2022 in 東京」において、「教育×データで何が生まれるのか、できるのか〜情報学研究所の視点〜」というタイトルで講演する予定だ。イベントとセミナーの詳細はこちら

国立情報学研究所(NII)所長の喜連川優氏(撮影:丸毛 透)
国立情報学研究所(NII)所長の喜連川優氏(撮影:丸毛 透)
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