新型コロナウイルスの感染症対策で、文部科学省が全国の大学および高等専門学校を対象に対応状況を調査したところ、全体の9割近い大学が授業開始時期を延期し、授業の開始に当たって、ほぼ全ての大学が遠隔授業を実施(66.2%)、または検討中(30.5%)であることが分かった。

 調査は同省が2020年5月12日に実施した。高等教育において感染症対策による休校措置で遠隔授業が一気に広がったことが分かる。その一方で、遠隔授業を実施するためのインフラ整備や授業の質をどう維持するかなど、課題も浮き彫りになりつつある。

 文部科学省の調査によると、4月の新学期に授業の開始時期を延期したのは国公私立大学および高等専門学校の回答数1046校(調査対象1070校)のうち930校(86.9%)にのぼる。例年通りの時期に授業を開始したのは116校だが、そのほぼ全てが遠隔授業だった。その他の方法で、感染予防に配慮して例年通り授業を開始したのは私立大学1校だけだった。

調査対象の86.9%に当たる930校が授業の開始時期を延期した
(出所:文部科学省 5月13日「新型コロナウイルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」)

 授業開始時期を問わず「遠隔授業を実施する」との回答は66.2%に当たる708校で、「検討中」との回答も326校(30.5%)あった。遠隔授業を「実施予定はない」としたのは12校の私立大学(1.1%)だけだった。新型コロナウイルスの感染症対策で、調査対象のほぼ全ての大学等(96.6%)が遠隔授業を実施することになる。

708校(66.2%)が遠隔授業を実施しており、326校(30.5%)が検討中という
(出所:文部科学省 5月13日「新型コロナウイルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」)

 大学側が遠隔授業による授業開始を急ぐ一方で、学生が一斉にアクセスしたため、大学のサーバーがダウンしてしまうトラブルが相次いでいる。名古屋大学では4月17日の授業開始日からサーバーへのアクセス集中により応答しなくなるトラブルが起きた。4月20日から授業を開始した東北大学でも同様にシステム障害が起き、一部の学生が授業を受けられなかった。他にも5月の大型連休明けから本格的に授業を開始した複数の大学でシステム障害が起きたとみられる。

 遠隔授業に関して大学間で情報共有を進めている国立情報学研究所は、大学が遠隔授業を実施する際にデータ量をなるべく減らした授業を設計して実施する「データダイエット」を進めるよう呼びかけている。多くの大学が一斉に遠隔授業をするとデータ量が増大し、インターネットの回線を圧迫して市民生活にも影響を及ぼしかねないためだ。

 同研究所では3月26日以降、「4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシンポジウム」を毎週オンライン開催しており、データ量の減らし方や各大学の取り組みを紹介するとともに、文部科学省も毎回状況を共有している。