数年前まで「ラーニングアナリティクス」や「LA」は耳慣れない言葉で、内容を理解している教育関係者は少数だった。だが、GIGAスクールの1人1台端末が実現して教育データの利活用が焦点になると、データを分析して学習や指導に役立てるラーニングアナリティクス(学習分析)が注目されるようになった。大学においてもオンライン授業が広がってLMS(学習管理システム)の利用率が上がり、そのアクセスログや講義動画の視聴履歴を解析するといった取り組みが増えた。

 ラーニングアナリティクスに関する研究や実践例も増えている。京都大学 学術メディアセンター緒方研究室は、NEDOによる支援事業として「説明できるAIの基盤技術開発」を進めている。デジタル教材の配信・分析システム「LEAF」に問題推薦AIエンジンを加え、「なぜこの問題を解くように勧めるのか」を学習者に説明できるリコメンドシステムの実証に取り組む。

※NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構

京都大学 学術メディアセンター緒方研究室が開発に取り組む「EXAIT(Educational Explainable AI Tools)」。データ駆動とモデル駆動の2つを使って学習者に問題を提案するという
京都大学 学術メディアセンター緒方研究室が開発に取り組む「EXAIT(Educational Explainable AI Tools)」。データ駆動とモデル駆動の2つを使って学習者に問題を提案するという
(出所:京都大学 学術メディアセンター緒方研究室 高見享佑氏「ラーニングアナリティクスと説明できるAI」)
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 東北大学 大学院情報科学研究科のラーニングアナリティクス研究センター(以下、LAセンター)は、内田洋行教育総合研究所と共同で「初等中等教育におけるラーニングアナリティクスに関する実践的研究プロジェクト」を実施。小学校などで「LEAF」を使った学習状況の分析などを研究した。このプロジェクトは、前述の緒方研究室とも連携しているという。

東北大学 大学院情報科学研究科LAセンターの研究プロジェクト。同センターの所長は東北大学大学院 教授の堀田龍也氏だ
東北大学 大学院情報科学研究科LAセンターの研究プロジェクト。同センターの所長は東北大学大学院 教授の堀田龍也氏だ
(出所:東北大学 大学院情報科学研究科LAセンター「初等中等教育におけるラーニングアナリティクスのはじめの一歩」)
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 2022年6月2日から開催される「New Education Expo 2022 in 東京」では、6月3日(金)に京都大学の緒方氏が登壇するセミナー「AIを活用した ラーニングアナリティクス研究と今後の展望」が予定されている。また、東北大学 大学院情報科学研究科LAセンターの所長を務める堀田龍也氏は、6月4日(土)の基調講演「『令和の日本型学校教育』の 推進のための情報化の動向」に登壇する。イベントとセミナーの詳細はこちら。

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