新型コロナウイルスによる感染症対策で、多くの小中学校と高等学校などが2020年3月2日以降、臨時休校を余儀なくされ、4月に入ってからも緊急事態宣言の発出で継続して休校した地域がほとんど。5月中旬からは緊急事態宣言が解除されはじめ、6月1日以降は全国で授業が再開されたが、依然として分散登校を続けたり、感染拡大の第2波に対して備えたりすることも必要になっている。

 5月下旬には福岡県北九州市の小学校で集団感染が発生して、感染を不安視して欠席する児童・生徒が増え、保護者の間で感染防止のために再び休校を求める声が高まるなど、安定した学びをどうやって確保していくか、学校現場は手探りの状態だ。

 こうした状況を受けて文部科学省は5月26日、各自治体の教育委員会や学校から寄せられた情報を基に、休校期間中に小中高等学校がICTを活用して学習に取り組んできた事例をまとめて紹介した。文部科学省は第2波到来に備えて、学校現場での参考にしてほしいとしている。

ICTを活用した学習の取り組み事例。文部科学省「小中高等学校におけるICTを活用した学習の取組事例について」を基に作成

 例えば、東京都の文京区教育委員会は、休校期間中に教育委員会が契約しているクラウドサービス上に、学習や学校生活に関する内容を配信してオンラインで学習支援を行った。校長や担任の教員からのメッセージや学習支援など、学校が再開してから円滑に授業を開始したり、児童・生徒がスムーズに学校生活を送ったりできるよう配慮した。

 渋谷区教育委員会は、動画配信事業者と協働で「渋谷オンライン・スタディ」という特設サイトを作成して学習動画を配信した。学校Webサイトや協働学習ツールを活用して課題の配信や提出などのやり取りをしたり、ビデオ会議システムで双方向のオンライン学習やホームルームなども開催したりした。

 愛媛県の松山工業高等学校では、分散当校中も学びを止めないことを目標に、分散登校で登校しない学年を対象に遠隔授業を実施。テレビ会議システムや協働学習支援ツールを活用して、実技を伴う工業系の授業にも取り組んだ。

 千葉県の柏市立手賀東小学校は、3年生の社会科の学習「身近な地域の様子や見学」で、地域の農家の方へのインタビューや施設の様子をオンラインで配信するなど、校外学習にICTを活用した。

 教職員のサポートでは、新潟県の上越教育大学附属中学校がテレビ会議システムを利用して、職員間の朝礼・終礼を開催。テレワークで職員間の情報交換や連絡の場が減る中、ICTを活用して職員の交流の場を確保した。また、大阪府の水都国際中学校・高等学校では、教職員専用のWebサイトを開設して、オンラインによる指導を進める上で必要な情報を共有した。