2022年6月2日から3日間、「New Education Expo 2022 in 東京」が開催された。3日目のセミナー「国立大での必須化、教科『情報』の大学入試に備える」では、河合塾 教育研究開発本部 本部長の富沢弘和氏、京都精華大学メディア表現学部 教授の鹿野利春氏、東京都立神代高等学校教諭の稲垣俊介氏が登壇し、教科「情報」の大学入試に関する最新情報を紹介した。

左から京都精華大学メディア表現学部 教授の鹿野利春氏、東京都立神代高等学校教諭の稲垣俊介氏、河合塾 教育研究開発本部 本部長の富沢弘和氏
左から京都精華大学メディア表現学部 教授の鹿野利春氏、東京都立神代高等学校教諭の稲垣俊介氏、河合塾 教育研究開発本部 本部長の富沢弘和氏
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大学入試の教科「情報」に関する最新事情

 最初に、進行役の日経BP 中野淳 日経BOOKSユニット長補佐が、教科「情報」の大学入試を巡る経緯を紹介した。「教科『情報』の入試の動きがいきなり始まった印象があるがそうではない」と説明。1999年には高校の授業科目に「情報」を作る動きがあったことを示す当時の報道記事を紹介した。

 続いての登壇者は河合塾の富沢弘和氏だ。大学情報に関する情報収集と発信に関わる業務を長年担当している立場から、教科「情報」に関して大学入試を巡る動きとポイント、大学側が大学共通テストで「情報」をどのように扱おうとしているのかについて説明した。

 まず、2025年度の大学入学共通テストの 出題教科と科目について3つのポイントを紹介した。1つめは「数学2」と「国語」の試験時間が10分延長になること、2つめは「数学2」と「地理歴史・公民」が新課程に対応した出題科目に変わること。そして3つめが新教科「情報」が出題されることだ。解答時間は60分となる。補足として「簿記・会計」「情報関係基礎」については出題されないこと、テストは紙と筆記具を用いる形式で実施され、コンピューターを使うCBTについては引き続き調査研究を進めることなどが挙げられた。

2025年度大学入学共通テストの出題教科と科目
2025年度大学入学共通テストの出題教科と科目
(出所:河合塾の講演資料)
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 新課程の試験科目に関する大学の公表状況について、河合塾調べの最新情報が紹介された。国立大学協会から大学入学共通テスト「情報」が必須との基本方針が明示されたものの、各大学の動きは遅く、2022年5月20日の時点で出題科目の詳細を公表しているのは7大学にとどまる。大阪大学、室蘭工業大学、九州工業大学の3校は大学個別試験についても詳細を公表しているが、「情報」の出題の有無のみという大学が多い。東京大学も出題を公表しているものの、内容は科目のみという状態だ。詳細は段階的に公表されることも予想され、配点などの詳細については発表が遅れる可能性もある。

新課程に対応する試験科目の大学公表状況。河合塾調べ。5月20日の段階では7校とまだ少ない
新課程に対応する試験科目の大学公表状況。河合塾調べ。5月20日の段階では7校とまだ少ない
(出所:河合塾の講演資料)
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 とはいえ、試験内容を大きく変える場合は2年前に予告をするという「2年前ルール」に準じて、2022年度中の公表が進む見通しだ。国公立大学は6~7月に2023年度入試の「大学入学者選抜実施要項」を公表するので、このタイミングで公表するとみられており、「情報を入手でき次第、広く周知していきたい」(富沢氏)とした。

 大学入学共通テスト「情報」を各大学がどう利用するかの想定も紹介された。国立大学協会は2022年1月にこれまでの「5教科7科目」に「情報」を加えて「6教科8科目」とすることを原則としたが、利用の最終判断は各大学が行う。「学部(学科)や日程により、『情報』を課さないケースもあり得る」(富沢氏)という。しかし、現状では国公立大学の受験においては基本的に対応が必要であり、私立大学を受験する場合でも国立を併願する場合、「情報」の受験対策が必要となる。

河合塾が想定する大学入学共通テスト「情報」想定される大学の利用方法。20万人以上が「情報」を受験することになる
河合塾が想定する大学入学共通テスト「情報」想定される大学の利用方法。20万人以上が「情報」を受験することになる
(出所:河合塾の講演資料)
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 最後に河合塾の取り組みとして、河合塾ではサンプル問題の作成とそのモニター調査の結果を紹介した。2019年度に問題を試作し、実際の試験形式になっている。センター試験の特徴を想定して込み入った問題が多く用意した半面、固有の基礎的な知識、用語についての理解も必要と考え、基本的な知識を確認する問題も多く出題したという。