新型コロナウイルスの感染症の影響で、学校現場で学習の遅れが深刻化している問題で、文部科学省は2020年6月5日、今後の対応策や文部科学省としての支援策をまとめた「『学びの保障』総合対策パッケージ」を公表、全国の教育委員会や学校関係者に通知した。

 学校の授業で行う学習活動は、教員と児童・生徒および児童・生徒同士の関わりが重要な学習への動機付けや協働学習、学校でしか実施できない実習などに重点を置き、限られた授業時間の中で2020年度から始まった新学習指導要領に定める内容を効果的に指導していく。それに伴い、個人でも実施可能な学習活動の一部は、ICTを活用して授業以外の場において行っていくようにする。

ICTを活用して児童・生徒の学習環境を整備するため「GIGAスクール構想」を加速し、ハード・ソフト・人材を一体で整備していく
出所:文部科学省「『学びの保障』総合対策パッケージ」

 休校措置が取られて以降、多くの学校ではさまざまな問題によりオンラインでの遠隔授業が進まなかったことを受け、ICT活用によるオンライン学習を確立することを目指す。 パソコンやタブレット、通信用のモバイルルーターなどを、特に家庭でICT環境を整備できない児童・生徒向けに優先して配置し、 秋以降に新型コロナウイルス感染症の第2波が到来する可能性に備えて、優先すべき地域の学校でオンライン学習を可能にする。

 2020年度から、児童・生徒に1人1台の端末を整備する「GIGAスクール構想」が始まっているが、端末やソフトウエア/サービス、対応する人材の育成などを一体とした整備を加速することで、新型コロナウイルス感染症だけでなく、その他の災害の発生による学校の臨時休業等の緊急時に、ICTを活用して全ての子供たちの学びを保障できる環境を早急に実現していく。こうしたICT活用を実現していくために、全国の学校現場のサポート体制を通じて、教職員向け研修やオンライントレーニングを実施していく。

 端末の整備に関しては、まず家庭のパソコンやタブレット、スマートフォンなどの活用や学校の端末の持ち帰りなど、あらゆる機器や環境を最大限活用する。そのため学校や教育委員会が、家庭の通信環境の至急把握することを求めている。2020年8月には特定警戒都道府県として指定されるなどの優先地域で、ICTを活用したオンラインによる家庭学習を全ての児童・生徒ができる環境を実現するとしている。少なくとも小学6年・中学3年などの最終学年の児童・生徒や、経済的理由でICT環境を準備できない家庭に対してICT環境を整備することを目指す。

オンラインの演習システムも開発

 将来に向けては、ICTをフル活用するための「教育ICTシステム」を構築していく。 児童・生徒がパソコンやタブレットを使ってオンライン上で問題演習を行って学習し、教員が評価できるようにするプラットフォーム「学びの保障オンライン学習システム」の導入に向けて、プロトタイプの開発と実証を行う。学習履歴の活用などを含めた個別最適化された学び(アダプティブラーニング)の実現についても検討していく。 教育データを効果的に活用するため、データの相互交換、蓄積、分析ができるように学習指導要領のデータ化を含めた教育データ標準を公表していくという。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響で、大学入試で受験生が不利益を被らないように、選抜方法や学業での成果・資格の扱いなどについて全大学に配慮を求めた。選考方法についても、例えば、ICTを活用したオンラインによる個別面接やプレゼンテーション、入学後の学修計画書等の提出など、多様な選抜方法が検討できることを示した。