スチュアート・ミラー氏
Google for Education アジア太平洋地域 マーケティング統括本部長

──児童・生徒向けのコンピューターでは、Chromebookが大きなシェアを獲得しました。

 全国の地方自治体の半数以上でChromebookが採用されました。セキュアな環境、シンプルで使いやすいこと、管理コストを圧縮できることなどが評価されたのだと思います。Chromebookは、児童・生徒が端末を紛失しても遠隔操作でロックできるため、情報漏れの心配をせずに使えます。

──新しいデバイスやサービスを使いこなすには、教員に対する研修やサポートが欠かせません。

 GIGAスクール構想向けの研修、Kickstart Programを提供してきました。この研修では、先生たちが教員側と生徒側の両方の役割を体験することで、授業での使い方を身に付けていただきます。参加した先生には、それぞれの学校で研修の成果を展開してもらいました。

 Chromebookは初めて触る先生が多いので、研修では特に丁寧な説明を心掛けています。パソコンが得意な人よりも、むしろ苦手意識を持っている先生に参加してもらっています。現場での研修以外にも、動画や各種の教材も提供しています。例えば、2020年に9回実施したティーチャー・フォーラムでは、GoogleClassroomなどを授業で活用する事例を先生たちが発表しました。その際の動画は、YouTubeでいつでも視聴できます。

──2021年度からの端末活用を支援する取り組みはありますか。

 グーグルには、すでに「Google教育者グループ(GEG)」という活動があります。教育関係者が教室でのICT活用に関して情報を交換する場です。GIGAスクール端末についても導入後の支援を続けたいので、先生同士が学び合えるコミュニティーを作りたいと考えています。まだ試験的な段階ですが、立ち上げに向けて準備中です。それと、活用ライブラリーも作りたいと思っています。

──1人1台のコンピューターで何が変わりますか。

 埼玉県久喜市の例では、ある学校で1人1台のChromebookを活用するようになってから、それまで市内の学力テストで平均以下だったのが平均を超えるようになったと聞きました。ChromebookやGoogleWorkspaceを使うことで生徒たちは自分の意見が認められ、学習意欲や授業に対する満足度が上がったことが良い結果につながったのでしょう。グーグルのツールは目的でなく手段ですから、そのツールをうまく使うことで授業の仕方が変わったのです。

*G Suite for Educationから名称変更した

 コンピューターを手に入れた子供たちは、授業で先生から教わるだけでなく、いろいろな所から情報を取れるようになります。先生は初め不安かもしれませんが、ICTをツールとして使うことで子供たちは責任や意欲を持って学ぶように変わっていきます。海外では子供同士で授業するように教え合う姿もよく見ます。これから先生の役割も変わっていくのではないでしょうか。

初出:2021年4月19日発行「日経パソコン 教育とICT No.16」