教員の役割が変わっていく

 GIGAスクール端末活用の最も重要な要素は人材だ。その中心である教員には、ICT機器を扱うスキルはもちろん、それを生かした授業を設計する能力も求められる。当然、初めから誰もができるわけではないので、教育委員会など周囲からの支援が重要だ。文部科学省も教員向けに活用事例を紹介するポータルサイトを開設した(図6)。

●文部科学省は「StuDX Style」で事例を共有
●文部科学省は「StuDX Style」で事例を共有
図6 文部科学省は、GIGAスクール端末の活用事例を集めたWebサイト「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」を開設した。2021年3月末の時点では、「Step1」として端末に慣れる方法や教員と児童・生徒がつながる取り組みなどを紹介している(左)。事例ごとに詳細が記載されたPDFをダウンロードできる(右)

 情報提供にとどまらず、自治体の枠を越えて教員同士がつながる場の必要性を指摘する声も多い。こうした声に応じて、グーグルや日本マイクロソフトも教員が学び合えるコミュニティーのサポートに乗り出している。

 数年後には教育データの活用能力も問われるようになるだろう。ICT機器の浸透により児童・生徒の学習データが蓄積されるようになれば、それを分析して授業を改善し、子供たちを適切に導いていく能力が求められる。奈良県立教育研究所から奈良教育大学教職大学院に転じた小崎誠二氏は、「今後は統計学や数字による分析、問題解決などが教員の資質の一つになる。その教員を養成する大学は改革に取り組む必要があるのではないか」と指摘する。

 最後に、多くの教育関係者がICT活用教育に欠かせないものとして挙げているのが、教員が自らマインドセットを変えること。GIGAスクール構想で実現した1人1台端末のICT環境は、それ以前の「たまに授業でパソコンを使ってみる環境」とは全く異なる。身の回りの社会がICT抜きでは成り立たないのと同様に、コンピューターを授業で使うことを日常と捉える感覚がないと活用は難しい。ICT活用教育が進めば、教員の役割は「教える人」から「学びを導く人」へと変わっていくだろう。

初出:2021年4月19日発行「日経パソコン 教育とICT No.16」