私たちには将来への責務がある

 教員志望者の減少が社会問題化しています。社会に巣立っていこうとする今の若者にとって、職場がどれだけデジタル化しているかは、職業選択における大きな要素になっています。生まれながらにデジタル機器に囲まれて育ったデジタルネーティブ世代が、わざわざ紙の書類の処理で忙殺されるアナログ環境の職場に飛び込むには抵抗があります。

公立学校教員採用選考試験の実施状況。教員採用の競争率は、日本の経済がバブル景気に沸いた時期に記録した最低値に近づいている
公立学校教員採用選考試験の実施状況。教員採用の競争率は、日本の経済がバブル景気に沸いた時期に記録した最低値に近づいている
(出所:文部科学省「令和2年度(令和元年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント」)
[画像のクリックで拡大表示]

 今の時代、教職への使命感に燃える若者であればあるほど、その使命感を実践、体現していくための道具にICTが必要なのです。たとえ現職教職員がアナログ環境で妥協できるとしても、教職を将来にわたって魅力的な職場とするためには、今この機会に学校をICT利活用環境に築き上げておく必要があります。

 そもそも、これからのデジタル社会を生きる子供たちが、教育基本法第2条の「主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」という目標のためにもICTが不可欠だということは、最近のICTを使った授業実践例からも明らかです。新しい学習指導要領の主体的、対話的で深い学びの実現にICTは大きく貢献しているのです。

 昔の学校は、集落の中で唯一地球儀があり、ピアノがあり、ミシンがあり、最先端のモノに触れられ、子供たちが最もワクワクできる場所でした。令和の時代はICTという先端技術の活用で、子供たちにとって再び学校が胸躍らせられる場所にしていければと思います。「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない」、全ての子供たちが教育ICTの恩恵が受けられる社会とすることが、今の大人の責務ではないでしょうか。

 大臣メッセージのうち、今回あまり触れなかった「子供たち一人ひとりに個別最適化される教育」については後編で触れたいと思います。

GIGAスクール構想に至った経緯や、今後の学校におけるデジタル化への向かい方などまとめた拙著「GIGAスクールを超える」が東洋館出版から2022年7月に発売予定です。