2022年6月10日、11日の2日間、大阪市中央区で「New Education Expo 2022 in 大阪」が開催された。6月10日のセミナー「どう進める、大学の『AI・データサイエンス教育』」では、高等教育機関のAI・データサイエンス教育の実践事例を紹介し、課題や解決策について登壇者が議論した。

 セミナーは、日経BPの中野淳日経BOOKSユニット長補佐がコーディネーターを務め、京都光華女子大学キャリア形成学部教授の阿部一晴氏、関西学院大学副学長/情報化推進機構機構長/工学部情報工学課程教授の巳波弘佳氏、文部科学省高等教育局 専門教育課企画官の中澤恵太氏が、パネリストとして参加した。

セミナーに登壇した関西学院大学副学長の巳波氏(画面右)、京都光華女子大学キャリア形成学部教授の阿部氏(画面中央)、日経BPの中野日経BOOKSユニット長補佐(画面左)。文部科学省高等教育局 専門教育課企画官の中澤氏はオンラインで参加した
セミナーに登壇した関西学院大学副学長の巳波氏(画面右)、京都光華女子大学キャリア形成学部教授の阿部氏(画面中央)、日経BPの中野日経BOOKSユニット長補佐(画面左)。文部科学省高等教育局 専門教育課企画官の中澤氏はオンラインで参加した
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 セミナーでは、日経BPの中野日経BOOKSユニット長補佐が、政府が2019年に発表した「AI戦略2019」における教育改革の主な取り組みを解説した。AI戦略2019では、デジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」の基礎的な素養を身に付けた人材の育成に向けて、大学や高等専門学校が全ての学生を対象に「AI・データサイエンス教育」を導入することを求めている。

 2025年までの目標として、新学習指導要領の実施で必履修となった教科「情報I」などを通じて高校卒業者全員に当たる年間100万人が基礎的素養を身に付け、大学・高等専門学校卒業者全員に当たる50万人にリテラシーレベルの教育を実施する。高校生の一部と大学生の50%に当たる年間25万人は応用基礎レベルを学べるようにして、年間2000人程度を課題解決型のAI人材として育成することを目指す。

中野淳日経BOOKSユニット長補佐は、政府の「AI戦略2019」で進む教育改革の現状について解説した。2025年までに大学・高等専門学校卒業者全員に当たる50万人にリテラシーレベルの教育を実施することを目標にしている
中野淳日経BOOKSユニット長補佐は、政府の「AI戦略2019」で進む教育改革の現状について解説した。2025年までに大学・高等専門学校卒業者全員に当たる50万人にリテラシーレベルの教育を実施することを目標にしている
(出所:中野淳日経BOOKSユニット長補佐の発表スライド)
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 また、日経BPが提供する教育機関向けコンテンツサービス「日経パソコンEdu」を通じて、大学・高等専門学校に求められている数理・データサイエンス・AI教育が実践できることを紹介し、人材やノウハウが不足する中でこれから導入を進めようと考えている大学などに向けて日経パソコンEduの活用を提案した。

 京都光華女子大学は早くから情報活用教育に力を入れてきており、データ活用・AIの基礎的素養を習得する「光華EDUALプログラム」を開設している。AI人材育成のリテラシーレベルのカリキュラム提供は2021年度から実施しており、応用基礎レベルのカリキュラムも2022年度に開設し、文部科学省の認定取得を進めている。

 リテラシーレベルでは、データから情報を読み取り、分かりやすく伝えるための知識・技法と、AIの得意なことや苦手なことを学び、データやAIの利活用における倫理的問題を知る。応用基礎レベルでは、自らの専門分野の学びや卒業後の就業において、課題解決にデータやAIを活用するための基礎知識とスキルを学習し、現実の課題に対する基本的な活用法について実践(PBL)を通じて学んでいく。 

 キャリア形成学部教授の阿部氏は「本学では、学生の情報リテラシー取得を重視し、早くから取り組んできた。各学部の専門知識に加え、データを日常の生活、ビジネス、健康科学、教育などの場で使いこなすための基礎的素養(リテラシー)を併せ持ち、2つの強みを持った人材の育成を目指して実践的な教育を提供していく」と話す。

 京都光華女子大学は日経BPが発行する書籍「基礎から学ぶICTリテラシー」をテキストとして採用し、「日経パソコンEdu」を授業や自学自習で活用できるようにしている。最新のICTに関する情報を授業で学んだり、学生が課題に取り組んだり、レポートをまとめたりするのに活用しているという。

京都光華女子大学はデータ活用・AIの基礎的素養を習得する「光華EDUALプログラム」を開設。学部の専門知識と、データを日常の生活やビジネスの場などで活用できる素養、2つの強みを併せ持った人材育成を進めている
京都光華女子大学はデータ活用・AIの基礎的素養を習得する「光華EDUALプログラム」を開設。学部の専門知識と、データを日常の生活やビジネスの場などで活用できる素養、2つの強みを併せ持った人材育成を進めている
(出所:阿部一晴氏の発表スライド)
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