全てをオンラインで実施する「フルートオーディション」

 音楽の対面レッスンだけでなく、コンサートや演奏の発表会なども新型コロナウイルスの影響で、軒並み中止になっている。演奏家や音楽を学ぶ生徒・学生が参加するコンクールも同様だ。

 こうした中、大阪音楽大学准教授で国内外で活躍するフルート奏者の上野星矢さんが、告知、応募、審査などの全てをオンラインで実施するコンクール「第一回フルートオーディション」を企画した。2020年4月1日から募集を開始し4月30日に受付を終了、7月31日に最終選考の結果を発表する。応募者は、スマートフォンなどで撮影した演奏動画を送る仕組みだ。

 今回の取り組みについて上野さんは、「コンクールや演奏会の中止で困っているという相談を音楽教室の生徒から受けたのがきっかけ。皆さんのモチベーションを保ってほしい、音楽への情熱を失わないようにしてほしいという目的で開催した。最終選考まで全てをオンラインで実施するコンクールは業界初ではないか」と語る。

フルート奏者の上野星矢さんが企画したコンクール「第一回フルートオーディション」のWebサイト。告知、応募、審査などの全てをオンラインで実施する
フルートオーディションのイメージイラスト

 このコンクールでもオンラインならではの利点があった。コンクールでは、上野さんのほかに、海外の楽団に所属するフルート奏者や指揮者らが審査に携わっている。世界各地に住む多忙な音楽家が審査に参加できたのはオンラインだからこそ。また、フルートオーディションには、5部門に400人以上の応募があった。この規模は「世界のどのコンクールよりも参加者が多い」(上野さん)。また、コンテストの参加者全員に、それぞれの演奏に対する審査員の講評動画が届く。こうした取り組みも、オンラインならではと言えるだろう。

 上野さんが手がける音楽教室「音の棲む部屋」でも、4月からオンラインレッスンを開始した。実際に取り組んでみて上野さんは、「オンラインレッスンではある程度少なくなった情報から想像して分かりやすく生徒に伝える必要がある。このため、先生の腕が試される。テクノロジーの進化に応じて、私たちも新しいアイデアを出しながら日々進化していく必要がある。オンラインレッスンは世界中にいる生徒とレッスンができるのも利点。もっと研究して、レッスンのクオリティが上がれば、オンラインが主流になるかもしれない」と語る。

 新型コロナウイルスによって、音楽教室や演奏家の活躍の場にも大きな影響が出ている。一方で、学校教育と同様に、ICTの活用によって、さまざまな課題を乗り越えようという動きも広がっている。こうした取り組みの知見やノウハウが蓄積し、国内外に広がっていくことを期待したい。