公益財団法人日本財団(会長:笹川陽平)は、新型コロナウイルスによる感染拡大で休校が長期化していた2020年5月下旬、「学校教育と9月入学」をテーマに18歳を対象にした意識調査を実施した。同財団では、18歳の若者がさまざまな事象についてどう考えているかを定期的に調査しており今回が26回目。全国の17歳〜19歳の男女1000人を対象にインターネット上で調査した。

 今回の新型コロナウイルスの感染症拡大を受けて、「休校により、もっとも困ったこと」のトップは「学業」で37.4%だった。続いて「友達とのコミュニケーション」(20.3%)、「受験や進学・就職」(17.8%)の順だった。4位以下は「部活動」(9.3%)、「体育祭や文化祭などの行事」(4.1%)、「学費の負担」(2.2%)、「卒業式や入学式」(2.1%)、「修学旅行」(1.4%)、「その他」(5.4%)と続く。

休校により最も困ったことは「学業」という回答が37.4%に達した
出所:日本財団「『18歳意識調査』 第26回 学校教育と9月入学」

 休校によって学業で困ったことに関して、「初のオンライン授業に戸惑った」「ネット環境がわるく授業が受けにくい」「大学に入学したのに、実際に大学で講義を受けることができず、対面に比べて定着力の低下を感じる」「家にいると、勉強時間が決まっていないので、サボってしまう」「勉強して質問したいことがあっても先生に訊くことができない」「実技科目が多いのでオンラインではなかなか授業ができない」「実技・実習を中心に行う専門的な授業が多いため、リモートワークでは不十分な点が多い」(原文まま)などの回答があり、休校により急きょオンラインでの遠隔授業になったことへの戸惑いを感じたことが見て取れる。

 「休校措置により、教育格差を感じる」という回答は58.6%に達した。オンラインでの遠隔授業の導入に関して「私立と都立ではオンラインでの授業などで、勉強時間の差が出てしまうと思う」「同じ公立高校でも、3月からオンライン授業が始まった学校や、5月になってやっと始まった高校がある」「私立(校)に通っている人たちはオンライン授業をやっているのに、公立に通う私たちは自習で頑張るしかない」「休校措置がとられても、オンライン授業で知識を増やしていく学校、課題のみ郵送されてくる学校で格差がある」「宿題も少ないし、オンライン授業もなく、他校との差を感じた」など、学校ごとの遠隔授業への取り組み方について不安を感じていることが分かる。

休校になったことで、教育格差を感じるという回答は過半数の58.6%
出所:日本財団「『18歳意識調査』 第26回 学校教育と9月入学」

 家庭環境によっても学習に差が出ることが見て取れる。「学校がないから、塾に通っている子どもといない子どもとで差が生まれてしまうと思う」「オンライン環境が整っていないと勉強できない」「ネット環境は全ての生徒にはない」「教えてくれる大人(親)が常にいるかいないかの差は大きい」などの回答があった。

 自宅学習の習慣に関しては、「オンラインでの課題配信が中心の学習となっており、自主的に学習できる生徒とそうでない生徒の差が生じている」「学校以外で学習する習慣がない人は遅れると思う」「勉強方法がわからない方や先生に聞かないとわからない方は一人でできる人に比べて勉強ができなくなる」など、休校になったことで個人の学習方法についても不安を隠せないようだ。

 こうした学習の遅れを解消するための打開策として、「オンライン授業を増やす」という回答が52.5%と、2位の「夏休みなどの長期休暇を減らす」(38.8%)、3位の「9月入学の導入で卒業時期を延期する」(25.9%)を上回り、遠隔授業に期待をしていることが見て取れる。

学習の遅れを解消するには、過半数の回答者が「オンライン授業を増やす」のがよいと考えている
出所:日本財団「『18歳意識調査』 第26回 学校教育と9月入学」

 今後、新型コロナウイルス感染症の第2波が到来し、再度休校になった場合、学習時間を確保するための対策として、「オンライン授業の導入と整備」との回答が50.8%と過半数を超え、遠隔授業による学習への期待は高い。

今後、感染症の第2波が来て、再度休校措置が取られた場合、「オンライン授業の導入と整備」をすることで学習時間を確保するという回答が過半数を超えた
出所:日本財団「『18歳意識調査』 第26回 学校教育と9月入学」

 政府が議論している入学時期を変更して9月入学を導入する件に関しては、「賛成」「反対」「わからない」がほぼ拮抗した。

政府が議論を進める「9月入学」については賛成・反対・わからないという回答がほぼ同じ割合だった
出所:日本財団「『18歳意識調査』 第26回 学校教育と9月入学」

 コロナ禍を経て、学校教育はどのように変わるべきかとの問いかけに対しては、オンライン教育の推進を進めるべきという回答が多かった。「どんなときでも授業を受けられるような災害時にも対応できる仕組みを導入すべきだと思う」「不登校児でも、授業に参加し学力を上げる手段が作れたと思うので、Web授業も継続すべき」「感染症のような大きな混乱があっても問題なく代わりの授業方式に切り替えられるようにするべき」「もっと自由な学び方が保証されるべきだと思う。わざわざ学校へ通うのではなく、オンライン授業が増えればいいのにと思う」「この際、オンライン授業やこのような騒動になった場合に対応するためにタブレットなどを導入するべきだと思う」などの回答があった。

 日本財団の「18歳意識調査」は、2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、また民法改正に伴って2022年4月には成人年齢も18歳に変わることから、18歳の若者が何を考え、何を思っているのかを継続して調べるため、2018年10月から実施している。