大学入学者選抜(入試)における主体性等の評価などに使われる「JAPAN e-Portfolio(ジャパン・イー・ポートフォリオ)」の先行きが見通せなくなっている。JAPAN e-Portfolioを運営する一般社団法人教育情報管理機構が公表した2019年度の決算と事業報告に対し、文部科学省は今後の運営を許可するかどうかを審査中だ。場合によっては、運営許可が取り消される事態も想定される。

JAPAN e-Portfolioのポータルサイト。高校生は、高校生活で学んだこと、部活動や学外での活動、取得した資格・検定などの情報を入力する。大学はそのデータを入学者選抜のために評価したり、入学後の育成に活用したりする

 JAPAN e-Portfolio(以下、JeP)は、高校生が3年間の学習・活動の過程や成果をポータルサイトに入力・蓄積しておき、大学の入試時に提出する仕組み。入試改革と高大接続の一環とされ、2020年度の入試から一部の大学が利用を開始した。JePは生徒の個人情報を扱い、大学入試にも使われるため、強固なセキュリティと安定的な運用が必須条件。このため、運営団体は審査を受けて運用許可を得る。

 JePを運営している教育情報管理機構に対しては、2020年3月の審査で条件付きの許可が出された。その際問題になったのは、運営許可要件にある以下の点だ。

継続性のある組織・経営体制であり、次の(1)(2)(3)を満たしていること。
 (1)債務超過でないこと。
 (2)事業運営に必要な資力を有していること。
 (3)「情報信託機能の認定に係る指針」に基づいた「情報銀行」の認定を受け、又は認定を受ける予定があること。

 上記の(1)と(2)については、「決算報告及び事業報告において確認を行う」とされ、(3)の要件についても、セキュリティ管理体制が整備されていることを証明するよう求めている。教育情報管理機構がこれらの条件を満たさない場合、「運営許可を取り消す場合があることを前提に、引き続き『許可(条件付き)』とする」とされた。

文部科学省が2020年3月に指摘した事項
出所:文部科学省「『JAPAN e−Portfolio』運営許可に係る審査結果」

会員大学の数は見通しをはるかに下回る

 その後、同機構の2019年度決算が出て、再度審議されることになった。2020年7月13日現在、まだ審議中で結論は出ていない。文部科学省の担当者は「審議結果を出せる日程は決まっていないが、速やかに決定したい」と話す。一方、教育情報管理機構は「審査の結果を待っている。今後も運営を継続する」としている。

 教育情報管理機構の2019年度決算公告を見ると、経常利益はおよそ5300万円の赤字になっている。機構は一般会員の大学と民間の賛助会員からの会費が主な収入源だが、いずれも予算で想定していた数が集まらなかった。特に大学の会員は34法人(決算公告による)と、予算より一桁少ない。対して支出は大半がシステム運用経費で、1億1000万円のうち2019年度に5500万円が支出され、残りが未払い金(流動負債)となっている。この財政状況を見れば、2020年度に数百校の大学が会員にならない限り、赤字を解消できないように見える。

 文部科学省所管の「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」(以下、協力者会議)では、JAPAN e-Portfolioについても継続的に議論している。協力者会議では「JAPAN e-Portfolioに関して、当初は全員が使うというイメージでスタートしていたが、実際大学において本当に受験生に対してこれを使おうとしているのかどうか、必要性という意味での疑問がある」といった意見も出ている。