グーグルは2021年7月14日、GIGAスクール構想によりICT環境を整備した公立小学校において「Google for Education」を活用している事例を紹介する説明会を開催した。

 学校現場でGoogle for Educationを活用している焼津市立豊田小学校(静岡県)、春日井市立藤山台小学校(愛知県)、静岡市立南部小学校(静岡県)の教員が登壇。GIGAスクール構想により整備された端末を1学期中に活用して、教員や生徒の学びにどのような変化があったか、安心安全な持ち帰り学習環境をどのように構築したかといった取り組みや工夫について紹介した。

 焼津市立豊田小学校の棚橋俊介教諭は、授業の進め方をグーグルの授業支援サービス「Classroom」 に投稿して児童と共有する使い方などを紹介した。1人に1台配備されたChromebookを使って、オンライン会議サービス「Meet」で毎朝の児童一人ひとりの健康をチェックすることで、災害時の児童の安否確認の訓練にもなっているという。

 社会の「地域に受け継がれた産業と地域の関わり」の授業では、児童が地域の産業についてプレゼンツール「スライド」を使ってパンフレットを作成し、単元の最後に児童たちが相互に講評する様子を紹介した。ほかの児童のパンフレットに対する評価は、表計算の「スプレッドシート」に入力する。データは即座に反映され、自分が作成したパンフレットの評価をすぐに知ることができる。

豊田小学校では社会の授業で、児童がグーグルのスライドを使ってパンフレットを作成した。クラウドサービスを導入したことで、同じ教室に居ながら児童によってさまざまな学習の形が生まれた
豊田小学校では社会の授業で、児童がグーグルのスライドを使ってパンフレットを作成した。クラウドサービスを導入したことで、同じ教室に居ながら児童によってさまざまな学習の形が生まれた
(出所:豊田小学校の発表スライド)
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 授業の最後には振り返りの時間を設け、児童がスプレッドシートに内容を記入していくことで、教員は授業の理解状況などを把握できる。その場で各児童の評価をすることで、児童のやる気を高めることにもつながっている。また、テキストマイニングツールを使って、児童全員の振り返りを分析するなどの工夫もしていた。

 授業でICTを活用することで、子どもたちの学びが大きく変わったという。棚橋教諭は「指示がなくても児童が主体的に動くようになり、児童の自主性に任せる場面が多くなった」と話す。

 静岡市立南部小学校は、浅井公太教諭がクラウドや1人1台端末を使って学校と家庭をつないだり、協働で作業したりする様子を紹介した。毎朝、児童が投稿する日記にコメントや連絡事項を追加し、登校してきた児童がChromebookを使ってそれを確認している。紙の日記でのやり取りに比べて、紛失や忘れる心配がなく、効率化も進んだという。

南部小学校では、体育の授業でChromebookを使っている。家庭での予習で動画教材をまとめ、授業に際して練習をして動画を撮影し、家庭で動画を見てふりかえりをする流れを紹介した
南部小学校では、体育の授業でChromebookを使っている。家庭での予習で動画教材をまとめ、授業に際して練習をして動画を撮影し、家庭で動画を見てふりかえりをする流れを紹介した
(出所:南部小学校の発表資料)
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 体育の授業では、インターネット上の動画を視聴し、跳び箱や開脚前転のポイントを整理してスライドでまとめ、模範演技の動画を確認してから実技を行った。自分の動きをChromebookで撮影し、動画をその場でクラウドストレージの「ドライブ」にアップロードする。授業中に動画をじっくり見るのではなく、端末を持ち帰ってから分析する。動画には教員からアドバイスが送られることもある。端末の持ち帰りで家庭学習と学校の授業をつないでいる。

 浅井教諭は端末の持ち帰りについて、「学習のために持ち帰っていることを児童が自覚することが必要」だと指摘する。実際に紛失や故障などのトラブルも起こったが、使い方のルールを決め、児童たちがトラブルを経験することで学びもあったという。

 春日井市立藤山台小学校では、Classroomを使って連絡事項や小テストを送信したり、「カレンダー」で自主学習の計画を立てたりしている。国語で物語のヤマ場がどこかを見つける授業では、事前に学びのポイントを児童に共有しておき、どのように活動するかは子どもたちに決めさせる。児童たちが話し合ってやり方を決め、教員は児童の進め方を軌道修正したり、ヒントを提供したりするファシリテーターの役割に徹した。学びの変化について久川慶貴教諭は、「教員や家族がいなくても、児童が自分で勉強を進められるようになり、教員は児童の学びを見守るスタイルになっていった」と話す。春日井市では、こうした学校での事例や校内研修を公開することで、市内の学校に水平展開している。

藤山台小学校は、国語の授業で物語のヤマ場がどこかを見つけるという学びに活用した。画面は、児童が話し合いの結果、自分たちのやり方で情報収集を進める様子
藤山台小学校は、国語の授業で物語のヤマ場がどこかを見つけるという学びに活用した。画面は、児童が話し合いの結果、自分たちのやり方で情報収集を進める様子
(出所:グーグル提供のYouTubeの動画)
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