文部科学省は2020年7月17日、全国の大学・高等専門学校(以下大学等)の授業の実施状況についての調査結果を明らかにした。新型コロナウイルスの感染症拡大で4月7日に緊急事態宣言が発出され、ほとんどの大学等が授業開始時期を遅らせるなどの対応をしてきたが、7月1日時点で全ての大学等が遠隔授業を中心に授業を再開している(調査対象1069校中1069校、100%)。

多くの大学等が遠隔授業と面接(対面)授業を併用して実施している。面接授業のみを実施しているのは16.2%にとどまる
出所:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」(2020年7月1日時点)

 5月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、対面による面接授業を実施する大学等が増えているが、面接授業のみを実施しているのは16.2%の173校にとどまる。大半は遠隔授業と面接授業を組み合わせて実施(60.1%)しており、23.8%の大学等は依然として遠隔授業のみ実施している。

 例えば、青山学院大学は5月1日から授業を開始したが、前期の授業は全て遠隔授業で実施しており、対面授業を行う場合は教員と全履修学生の合意が取れている場合のみとしており、構内への立ち入りも原則として禁止している。9月からの後期授業期間も原則としてオンライン授業とする。

遠隔授業のみの大学等は、面接授業の再開時期に関しての判断が分かれている
出所:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」(2020年7月1日時点)

 全ての授業を遠隔授業で実施している254校に対して、一部でも面接授業を再開する時期について聞いたところ、7月中(28.3%)、8月中(22.0%)、9月以降(24.8%)、検討中(23.2%)と分かれた。各大学が感染症対策と授業の進め方との間で対応に苦慮している様子が見て取れる。

 例えば、東京大学は、S1/S2ターム(7月末まで)の講義は基本的に全てオンライン授業。ただし、対面で行う必要のある実習や演習などは夏期休業の期間にかけて、感染の状況を判断しながら実施するとしている。

全面的な面接授業の再開については、多くの大学が検討中として依然として慎重な姿勢
出所:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」(2020年7月1日時点)

 さらに、全部または一部の授業を遠隔授業で実施いる大学等に、全面的に面接授業を実施する時期について聞いた。6.0%の大学等が7月中(3.9%)または8月中(2.1%)には全面的に面接授業を再開する予定だが、25.1%は9月以降の再開としている。約6割の大学等は検討中としており、感染につながりかねない面接授業については慎重であることが分かる。

構内への立ち入りについては、授業のみでの入構、または授業以外での一部入構を認めている大学等が多い
出所:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」(2020年7月1日時点)

 遠隔授業が中心とはいえ、大学構内への立ち入りについては対応が分かれる。全面的に立入禁止としている大学等は1.7%と少なく、多くは授業等での利用目的(34.5%)か、それ以外の目的(42.4%)でも利用できるように、徐々に制限を解除し始めている。

 早稲田大学は春学期について全ての授業をオンライン化しているが、7月6日から構内への立ち入り制限を一部緩和し、遠隔授業を受講するために教室やPCルーム、学生ラウンジの一部を利用できるようにした。

 多くの大学では前期の授業が終盤に差し掛かり、夏季休業が近づいているが、以前と同じように学生と教員が構内に集まれるようになる時期はまだ見えない。当面は新型コロナウイルス感染症が続くことを前提に、新しい授業の在り方を模索していくことになりそうだ。