モバイルルーターとパソコンを学生に貸与
――学生はどのような環境から遠隔授業に参加しているのでしょうか。満足な受講環境は維持できているのですか。
通信環境が十分でない学生もいたのでモバイルルーターを貸し出したり、パソコンを貸し出したりしました。ルーターは50台、パソコンは200台を用意しました。これで学生の需要はカバーできています。
Zoomにアクセスする学生や海外の研究者などの利用環境を見ると、OS別ではWindowsパソコンが7割近く、Macが10%強、iPhoneが10%弱、iPadが5%、Androidが2%といったところでしょうか。
――遠隔授業を行うに際して、教員側に不安などはなかったのでしょうか。
率直に申し上げて、教員の抵抗はかなりありました。中には、従来の対面での授業と同じ品質が遠隔授業では実現できないと不満を持つ人もいました。
ただ、そういう不満を持つ教員の中からも、このような授業をやるにはどうすればよいのかやり方を教えて欲しい、というような質問やさまざまな意見も出てきました。学生からのフィードバックでは、授業を録画されているので後から見直すことができて復習ができてよかったという声も多く、考えを改める教員もいました。
学生にこびる必要はありませんが、学生自身が成⻑したと感じてもらえる授業を教員はしていかなければなりません。遠隔授業を上手に活用するには、今後はビッグデータを活用したエビデンスを基に、授業内容を評価していくことも必要でしょう。
コロナ禍が収束したとしても、教育のデジタル化が後退することはないと考えています。大学は教員のために存在するのではなく、学生にとってより良い学びを提供していき、成長できるようにしていくことが重要です。だからと言って教員に無理強いしてもデジタル化はうまく進みません。ほとんどの教員にとっては、教えたことを学⽣が吸収して活⽤し、それをフィードバックしてくれることは⼤きな喜びです。こうした流れを作れれば、教員は喜んでICT活⽤を進めるのではないでしょうか。
ICTを活用するための仕組みが、教員や学生にとって障壁にならないように環境を整えていくのが大学側の責務であり、CIOとしての私の役割だと考えています。