新型コロナウイルス感染症への対応で学校教育の混乱が続く中、中央教育審議会(中教審)の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」は2020年7月17日、第11回会合を開いた。これまでの議論を踏まえ、今後の学校教育のあり方などについて検討を行い、対面授業とオンライン授業を組み合わせた新しい学びのイメージを示した。中教審は、9月28日に開催予定の第127回初等中等教育分科会に中間まとめ案を提示し、今年度中に答申を出す予定だ。

 小中学校・高等学校などの初等中等教育では、昨今の新型コロナウイルス感染症による臨時休業で児童・生徒が登校できない時期が続いたことで、子供たちにとって安全安心な居場所とセーフティーネットとしての役割も担うとして、学校の役割の重要性が再認識されたとした。特に「日本型学校教育」は、教員が学習指導に加えて生徒指導でも主要な役割を担い、児童・生徒の状況を総合的に把握し、集団行動と他者との関わりや対話を通じて人を育てる重要な役割を果たすと指摘した。

 AI(人工知能)技術が高度に発達する「Society5.0時代」には、教員による対面指導や児童・生徒同士の学び合い、地域社会での多様な学習体験の重要性がいっそう高まる。教員はICTを活用しながら児童・生徒の対話的、協働的な学びを実現し、他者とともに問題の発見や解決に挑む資質・能力を育成することが求められるとの基本認識を示した。

 今後も社会全体が長期にわたって新型コロナウイルス感染症とともに生活しなければならない状況にある。こうした状況でも感染症対策を講じつつ、非常時の対応として遠隔教育やなどを活用した家庭学習や、地域社会の専門機関との連携などを通じて学びを維持し、コロナ終息後に向けて遠隔教育に積極的に取り組むことで、子供たちを誰一人取り残すことのない個別最適化した学びと、社会とつながる協働的・探究的な学びを実現していく方向性を打ち出した。

オンライン授業や家庭学習を授業と同様に評価

 新型コロナウイルス感染症が終息せず、臨時休業も必要に応じて行われる「With コロナ」を前提とした学びの保障の基本的な方針としては、ICTを活用して教員が対面指導とオンライン授業を組み合わせる「新しい教育様式」を実践する。児童・生徒の学習指導については一定の要件下で、オンラインを含む家庭学習を授業と同様に評価することを明確化する。

 児童・生徒1人1台のコンピューターと高速な校内ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」の早期実現や、家庭での通信環境も整備し、災害や感染症の発生などで学校が臨時休業した場合でも、ICTを活用して児童・生徒の学びを保障できる環境を早急に実現する。併せて、臨時休業などで学校に登校できない場合でも、児童・生徒が多様な学習をできるように、デジタル教材や動画などの学習支援コンテンツに関して情報提供を充実していく。

 教員がオンライン授業を含めたICTを活用して効果的に指導できるように研修を提供するとともに、教育委員会や学校の取り組み事例を集約して発信していく。教員の日常的なICT活用をサポートするICT支援員の配置を進め、学校でのICT環境整備の初期対応やICT使用ルール作成などの支援を実施する「GIGAスクールサポーター」の配置も進める。外部人材の活用も含めてICTに関する専門性を有した人材を教育委員会で意思決定を伴う立場に配置するとともに、ICT環境整備に関する計画策定や、ICTを活用した効果的な指導方法について助言・支援をするICT活用教育アドバイザー制度も推進する。

 新型コロナウイルス感染症が収束した後の「ポストコロナ」における新しい学びとして、教員が対面指導と家庭や地域社会と連携した遠隔・オンライン教育とを使いこなすハイブリッド型の協働的な学びを行なっていく。

ポストコロナの段階の新たな学びのイメージ。発達段階に応じてICTを活用しつつ、教員による対面指導と家庭や地域社会と連携した遠隔・オンライン教育とを組み合わせた「ハイブリッド型」の協働的な学びを展開する
出所:中教審「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」(第11回)会議資料

 そのためにも、教育データ利活用の基盤となるデータ標準化などの取り組みを加速する。それに加えて、児童・生徒一人ひとりの学習計画と学習履歴(スタディ・ログ)などのデータを活用することでPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回し、きめ細かい指導を充実して学習を改善する。