文部科学省は、「JAPAN e-Portfolio(ジャパン・イー・ポートフォリオ)」の運営団体である一般社団法人教育情報管理機構の運営許可を取り消す。萩生田光一文部科学大臣は2020年7月31日、「今後運営許可を取り消す方向で、運営許可が取り消された場合の事業停止に伴う必要な対応についての機構との調整や、利用者の登録データの取り扱い等について高校関係団体等との調整を行っている」と発言。大学入学者選抜(入試)で主体性等を評価するJAPAN e-Portfolioの仕組みは、わずか1年で頓挫した。

 教育情報管理機構は、2020年3月の審査で条件付きの許可を受けていた。その後、機構の決算と事業報告を受け、「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」において運営継続の可否が調査された。同機構の2019年度決算は赤字で、今後もJAPAN e-Portfolioへの参画大学が大幅に増える見込みは薄い(関連記事:JAPAN e-Portfolioの運営に暗雲)。JAPAN e-Portfolioの仕組みを入試に利用する大学が少ない上、運営を続けるための資金的な裏付けもないため、運営許可が取り消されることになったとみられる。

教育情報管理機構のWebサイト。2020年8月6日時点では何の告知もない

 文部科学省の担当者によると、「運営取り消しの時期はまだ明らかにできない」という。JAPAN e-Portfolioには利用する高校生約18万人のポートフォリオデータがあり、その扱いがどうなるのか気になるが、「情報の扱い方やJAPAN e-Portfolioに代わる仕組みをどうするかといった点も含めて調整中」(文部科学省)だ。2021年度入学の学校推薦・AO入試は秋には始まるので、8月に入っても「時期は未定」では遅過ぎる。

 大学入試改革では、民間試験を活用した英語4技能のテストと数学・国語の記述式テストが相次いで延期された。この2つに比べると注目度は低いが、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性等)」を評価する仕組みとして開発されたJAPAN e-Portfolioは、大学入試改革の3本目の柱だ。今回、教育情報管理機構の運営許可取り消しにより、文部科学省が企図した改革の柱は全て倒壊した。

 萩生田大臣は「文科省の判断で許可したわけで、それが継続的な運営ができない団体だったのだとすれば、文科省も一定の責任を当然感じなければいけない」と話している。文部科学省は、これまでeポートフォリオデータをJAPAN e-Portfolioに蓄積してきた高校生たちに対し、データを活用する手立てを用意するなど、責任を持って対応していく必要がある。