2021年6月15日、萩生田光一文部科学大臣は記者会見で、コロナ禍での学校の運動会などのネット配信における音楽などの著作権問題について、次のような見解を述べた(図1)。

●萩生田大臣が見解
図1 文部科学省は、運動会などのネット配信における音楽などの著作権問題について見解を示した

(1)初等中等の教育活動(学校行事等)は授業(特別活動)である
(2)授業目的の著作物の利用は2020年4月28日施行の著作権法第35条で必要と認められる限度において著作権者に無許諾で利用できる
(3)新型コロナウイルス感染症対策として保護者の来校を制限することがあるため、学校関係者らによる運動会のネット中継配信もあり得る
(4)運動会で利用される著作物(音楽、キャラクター、ダンスなど)については、対象が在校児童・生徒の保護者に限定していれば、無許諾でリアルタイムのネット配信をしても構わない
(5)文化庁長官の認可を受けた授業目的公衆送信補償金等管理協会(以下、SARTRAS)に補償金を支払わなければならない(徴集が始まった2021年度内に支払えばよい)
(6)なお、リアルタイム配信であっても、対象が在校児童・生徒の保護者を超えて配信する場合、著作権者の利益を不当に害する恐れがあるため、著作権者に許諾を得なければならない
(7)また、運動会などの様子をビデオ録画し、あるいは、リアルタイム配信時の録画ビデオを後から保護者に配信したり、クラウドストレージにアップロードしたりして、いつでもビデオをダウンロードできる状態にしておくオンデマンド配信では、著作物の種類(音楽等)によって著作物の全部を配信する場合、許諾が必要な場合がある

 以上の大臣の見解は、著作権者らの代表者らと学校関係者の代表者らによる会合「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」(以下、関係者フォーラム)が2020年12月24日に公表した改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」(以下、2021年度運用指針)に沿ったものである。

 前述の(1)(7)を押さえておけば、学校での著作物利用時の許諾の要不要、補償金や個別契約料金の支払いの有無について、学校現場でおおむね判断が可能だ。ポイントを図2にまとめた。さらに、これらを初等中等教育の現場における仕分けフローとして整理すると図3のようになる。

●授業で著作物を利用する際のポイント
図2 授業において他人の著作物を利用する際に確認すべきポイント
●初等中等教育における著作権処理のフロー
図3 学校で著作物を利用する際は、このチャートに従って判断する